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中高生と“いのちの不思議”を考える─生命科学DOKIDOKI研究室

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マンガdeひもとく生命科学のいま ドッキン!いのちの不思議調査隊

第30話 アストロバイオロジー

地球上の生命はどのように誕生したのか、宇宙のどこかに生命が存在するのか? 人類がはるか昔から問い続けてきた疑問だ。その謎に天文学、生物学、化学、地質学、物理学など、さまざまな分野の最新の知見をもとに挑んでいるのが「アストロバイオロジー(宇宙生物学)」という学問。このシリーズの最終話は、隕石や小惑星サンプルの分析、宇宙環境模擬実験などを通して宇宙の有機物の起源と進化を研究している癸生川陽子先生に、アストロバイオロジー研究のおもしろさをうかがったよ!

生命科学最大の謎… 宇宙に生命はいるのか…!? ぼくたち DOKIDOKI星人も おなじ疑問を持って 宇宙を調べているんだ! そして地球まで 調査に来たんだよ! へええ~ そうだったんだ! 宇宙の生命… いったいどうやって 調べたらいいのかしら?

「宇宙の生物学」について考える アストロバイオロジーという 研究領域があります 生命の起源や どうやって進化してきたのか これからどうなっていくのか という問いについて探究する 学問なんですよ! 天文学、生物学、 地球科学などの 専門家が協力して 研究しています どれも 興味がある ものばかり! ドキドキ するね! 東京科学大学理学院 地球惑星科学系 准教授 癸生川 陽子 先生

太陽系には 地球などの惑星のほかに 「小惑星」と呼ばれる 小さな天体がたくさんあります 小惑星探査機 「はやぶさ2」は 小惑星リュウグウの岩石を 採取して地球に届ける ことに成功しました! 私たちはこれを調べて 太陽系の歴史や 地球上の生命がどこから 来たかの手がかりを探そう! という研究をしています 2014年に地球から出発 2018年に小惑星 リュウグウに到達 2020年に地球に試料を届けた

「はやぶさ2」が 持ち帰った 岩石のかけらは 量が少なくて とても貴重なものです 「初期分析チーム」が 調べたあとに 世界中の研究者に 試料が分けられて さらにいろいろな 分析が行われました 私はこのとき 「固体有機物分析チーム」の 一員として 赤外線と軟X線を用いて 分析を行ったんですよ するとリュウグウの試料は いろいろな形や分子構造を 持つ固体の有機物を たくさん含んでいることが わかったんです! 軟X線とは、X線の中でも比較的波長が長く、 エネルギーと透過力が低い電磁波のこと

先生が調べられた 物を含めて 試料からは いろいろな物が 見つかったん でしょうね たとえば どんな物が あったん でしょうか? 試料からは 地球の生命を構成する物質とおなじような 物がたくさん見つかり ました! たとえばアミノ酸やカルボン酸は けっこうよくあるので 私たちのような 研究者からすると あまり驚きでは なかったのですが 核酸塩基や ビタミンB3が あったのには 驚かされました しかし ヌクレオチドや タンパク質などは 見つかっていません ええ~っ ヌクレオチドとは、生物の遺伝情報をつかさどる DNAやRNAなどの「核酸」をつくる基本の部品。 リン酸、糖、塩基でできている。 核酸塩基とは、DNAやRNAを作るアデニン、チミン、グアニン、シトシン、ウラシルのこと。この並び方によって生物の遺伝情報がつくられる。

やっぱり 宇宙には生命がいる ってことですか!? 元素というのはもともと 宇宙にどれだけ分布している というのがわかっていて 炭素、水素、酸素、窒素は たくさん存在しているんです でもニンジンや ジャガイモがあっても それが勝手にカレーに なるわけではないのと おなじで 生命の「材料」があっても 生命が生まれるわけでは ないはずです そっか…! 命はどうやって 生まれるんだろう? と不思議な気持ちに なってくるね!

ほかの天体にある 物質を採取しに 行くのは とても大変です 宇宙から やってくる隕石を 調べるという方法も ありますよ! でも宇宙から地球に 届くまでのあいだに 大気圏で燃え尽きて 失われる物質も 多いです それから 地球の酸素や水蒸気と 化学反応を起こしたり 地球の有機物が 混ざってしまったり することもあります 探査機が持ち帰ったサンプルは 地球の物質が影響しないように 注意して取り扱われています もし直接小惑星に行って 持ち帰らずにその場で 調べられるようになったら いいだろうねぇ…!

アストロバイオロジーでは いろいろな研究者が それぞれ興味を持ったことを 調べています たとえば私たちは 小惑星の内部でどのように有機物ができるのかを 実験で調べたりも しています 研究が進むにつれて だんだん知りたいことが 明らかになっていくだろう と思っていたのですが 実際には調べれば 調べるほど発見が多く 情報が増えていき かえって「まとまった答え」が 見えにくくなっている… ということが起きています 測定や分析の方法も増えて どんどん良くなってるので 新しい発見はこれからも 増えていくと思います 宇宙の生命について 何がどうなっている という全体像が わかっていくといいな と思っています

先生は 中高生のころは どんなことを していたんですか? 生き物や宇宙が テーマになっている テレビや本を 楽しんでいました 大学では 宇宙や地球に関する基礎的な勉強をして それが現在の研究に つながっています 最近の若い人は 「タイパ」「コスパ」と言って できるだけ無駄のないように ものごとを進めようとする 人が多いかもしれません でも 一見遠回りや 無駄のようでも よい経験になります 諦めないで しぶとくやって いくことが 大事です!

宇宙の生命について探求する 「アストロバイオロジー」という 研究領域があるんだって。 天文学、生物学、地球科学などの 専門的な知識や技術で調べていくらしい。 隕石や小惑星の鉱物が何でできているのか、 その中にどんなものが 含まれているのかを分析することで、 宇宙に生命がいるかどうかを調べたり、 生命の起源に迫ることができるかもしれない。 意外にもアミノ酸など 生命の材料となる物質があることも わかっていたのが驚きだ。 ぼくは毎回 地球の生命科学を 調査して 発見したことを レポートに書いて DOKIDOKI星に 送っていたんだよ 地球のみんなも これから たくさんの発見を していってね! もっともっと 生命科学を 学んでいこう!

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(全10ページ)

お話をうかがった先生

癸生川 陽子
(けぶかわ・ようこ)

東京科学大学 理学院 地球惑星科学系 准教授

栃木県宇都宮市出身。2006年3月東京工業大学大学院理工学研究科地球惑星科学専攻修士課程、09年3月大阪大学大学院理学研究科宇宙地球科学専攻博士課程修了。博士(理学)。米国ワシントンDCのカーネギー研究所、北海道大学大学院理学研究院での博士研究員を経て、14年より横浜国立大学大学院工学研究院機能の創生部門准教授、23年9月より現職。15年日本地球化学会奨励賞、2015年度日本惑星科学会最優秀研究者賞、21年4月令和3年度科学技術分野の文部科学大臣表彰若手科学者賞受賞。専門は宇宙化学・アストロバイオロジー。地球外の有機物の分析や実験的研究を行う。

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