公益財団法人テルモ生命科学芸術財団

中高生と“いのちの不思議”を考える─生命科学DOKIDOKI研究室

「サイエンスカフェ2018」レポート
講義と最先端の医工連携施設での実習を通じて
再生医療や人工臓器について学んだ2日間

参加した高校生たちの感想

※寄せられた感想の一部を抜粋したものです

「肌の再生」を研究したいと考えていたときに聞いた講義に興奮!

長崎県立長崎南高等学校(A・K 女)

私は将来、医療関係の仕事につきたいと思っていてサイエンスカフェへの参加を希望しました。学校の課題研究では組織培養を行っています。クリーンベンチや次亜塩素酸ナトリウムといったものは高価なので、段ボールでつくった無菌箱や100円ショップで買った除菌スプレーで代用して、絶滅危惧種となっているユリ科の植物ナガサキキボウシを組織培養によって救おうという研究です。そのため植物の細胞の培養についての知識は少しはありますが、動物の組織の培養についての知識はほぼありませんでした。1日目の講義で考えを深めることができ、特に清水先生の講義にあった「細胞シート」の話はとても興味深かったです。
私は自分の肌の傷の跡が治りにくいのがコンプレックスで、薬剤のリンデロンなどによって肌が黒くなってしまうのもすごく嫌で悩んでいます。私のように肌で悩んでいる人は少なくないと思い、これから「肌の再生」について研究してみたいと考えていたときだったので、「細胞シート」の存在を知りとても興奮しました。清水先生は「傷を負った直後に細胞を与えてあげると傷の跡がよくなるかもしれない」とおっしゃっていて、これこそ自分の求めているものだ!と思いました。
私が考えているのは、素人目線ではありますが、iPS細胞を細胞シートという形ではなく、塗り薬のようなものにして傷口に塗れば傷が早く治るのではないかということです。もし生きた細胞の塗り薬をつくることができたら、画期的でおもしろくて便利だと思いませんか!?
私は高校生で知識もまだまだ浅いですが、SSHの力を借りて自分の気になることを解き明かしていきたいと思っています。

心に残った「望んだ道ではなくても間違った道とは限らない」の言葉

愛知県立半田高等学校(K・S 男)

今回サイエンスカフェに参加しようと思ったのは、もともと医療について興味があり、サイエンスカフェのプログラムをみて体験したいことがたくさんあったからです。
まずは講義ですが、講師の方々のお話を聞く前は正直そこまで楽しみにはしていませんでした。実習のほうが目的だったので、「話を聞くなんてつまらないな」と思っていました。ですが、実際聞いてみると、最先端の医療のことや若手研究者の方々からの大学や将来選択のことなど、そのどれもがおもしろく、ためになるお話でした。
その中の1つとして、若手研究者の方がおっしゃっていた言葉があります。
「これから先、失敗をして自分の望んだ道や予定通りの道に進むことができなかったとしても、その道が間違った道とは限らない」という言葉です。ぼくはまだ高校1年生ですが将来について不安があります。「大学受験に失敗したらどうしよう」「就職活動に失敗したらどうしよう」と。先ほどの言葉で将来への不安が少し和らいだ気がします。
2日目の実習ではぼくが一番やりたかった縫合の体験をさせてもらい、貴重な時間をすごすことができました。そのとき指導してくださった先生のお話も印象に残っています。先生は医者として臨床の現場にいる一方で新しい研究にも取り組んでいるそうです。人の命を救うのが医者の仕事ですが、先生は医療現場で患者と接する一方で、新しい技術のための研究をすることでさらに多くの命を救おうとしているのでしょう。それこそが医者としての使命を全うしている姿だと思いました。
ぼくはサイエンスカフェに参加する前、何も将来の夢はありませんでしたが、今はあります。それは、大学病院などで医者として働きながら、新しい技術のための研究をすることです。貴重なお話、体験をありがとうございました。

医療機器の開発に携わる医工学はやりがいと夢がある

宮城県仙台第一高等学校(Y・B 女)

私は以前から、将来は医学分野にかかわり、病気の人を少しでも多く助けたいという思いがありました。医療関係者といわれて最初に思いついたのは医者でした。しかし、医者には、治したい患者さんが目の前にいても技術がないために治せない場合も多々あるのではないかと考えました。そこで興味を持ったのが薬学と医工学の分野です。薬学については新薬の開発に携わること、医工学については医療機器の開発に携わることができればいいなと思っていました。でも、医工学で具体的にどのような研究がされているか知らず、私にとって不透明な分野でした。
今回のサイエンスカフェでは、その不透明だった部分について講義やTWInsでの施設見学を通じて詳しく知ることができ、とてもよい経験となりました。中でも私にとって最も印象的で興味を持ったのは梅津光生教授の人工臓器についての研究です。臓器を機械で再現するというのは、医学の知識も必要だし、かつ、それを応用した工学の知識や技術も必要とするので、難しい研究であるのは間違いないと思いますが、とてもやりがいがあり、夢のある研究だなと思いました。
また、若手研究者の3人の先生のお話、さらには第2日目のTWInsの施設見学や実習を通じて、オープンキャンパスでは聞けないような話が聞けたし、なかなか見られないような場所を見学でき、できないような実習を行えたことは、将来につながるよい経験になったと思います。

4.5ℓの水を1.6mの高さまで持ち上げる心臓の働きってスゴイ

京都府立桃山高等学校(K・M 男)

今回のサイエンスカフェは、自分の将来の夢を見つめ直すとてもよい機会となりました。1日目の講義の第一部は僕にはとても難しい内容でしたが、細胞シートについてなど、先生のお話はとてもわかりやすく、より深い理解を得ることができました。第二部の「若手研究者に聞く」では、高校生のころに何をしておけばよかったかや、研究者の1日の生活などがわかり、とても参考になりました。また、今まで全く知らない人と話すのが得意ではなかったのですが、夜の懇親会のおかげで楽しむことができ、クイズ大会では交流を深めることができたのでよかったです。
2日目のTWInsの施設見学では、細胞臓器作製室でクリーンベンチなど無菌環境下で細胞の培養操作ができる装置などを見せてもらい、細胞培養には無菌操作が欠かせないということが実感できました。
続いての実習では、人工心臓モデルの製作をすることになりました。実習の前の説明で、心臓は1分間に地面にある4.5ℓの水を1.6mの高さまで持ち上げる仕事をしているという話を聞いたときは、ただ「けっこう大変だなあ」と思っていただけだったのですが、実際につくったモデルを使ってやってみて、その大変さに驚くばかりでした。
実際に使われている人工心臓も見せていただいたのですが、これ1つで車が買えるほどだと聞きました。また、3Dプリンターでつくられた人工心臓モデルを見せてもらい、大動脈瘤や大動脈乖離などの話も聞けてよかったです。さらに細胞シートの移植の様子なども見せていただき、一生に一度の体験ができました。

若手研究者から、より身近で進路に役立つ情報を聞けた

奈良県立青翔高等学校(A・S 女)

将来、医療の仕事に就くことを希望していますが、今回のサイエンスカフェに参加して機械科や工学科に入っても医療に役立つことができると知り、自分の将来の道がとても広がった感じがしました。
テレビドラマなどの影響もあって身近になってきた医療ですが、再生医療についてはまだまだ広まっておらず、ニュースになっていても全然わからなかったのですが、先生方の講義や、会場でいただいた本(『最前線の生命科学者が語る やっぱりすごい!日本の再生医療』などのテルモ生命科学芸術財団監修の書籍)を通して理解することができました。
また、「若手研究者に聞く」のプログラムもとても参考になりました。学校でもよく研究者の方の話を聞いたりしますが、少し難しくて理解できないことがあります。自分と年が近い方の話だとより身近に感じられるし、自分たちの進路にも役立つ情報を伝えてくださるので、とてもよかったです。
2日目のTWInsの施設見学は今回のサイエンスカフェで一番楽しみにしていたことでした。これまでもいろいろな大学の研究室を見ましたが、それぞれ置いてあるもの、使用しているものが違うのでとても楽しいです。TWInsのように2つの大学が共同で研究しているところはあまりないと思うので、貴重な場所を見学できて、研究者になるのもいいなと思いました。実習では細胞シートを移植する体験をしましたが、ピンセットで接着しようとしても、思っているところとは違うところについたりして難しかったですが、機会があればほかの実験もしてみたいと思いました。

2日間でコミュニケーション能力が向上し友だちができた

大分県立日田高等学校(K・Y 男)

私は以前から薬剤師になりたいと思っていましたが、今回、サイエンスカフェに参加してその思いがより一層強くなりました。
参加して最も驚いたのは、最先端の医療では「工学」が重要な役割を担っていることでした。それまで、医療というと人や動物の体に関することなので「生物」が重要であると考えていました。しかし、講義や実験などのプログラムが進むにつれ、工学が重要という考えが自分の中に芽生えてきました。
それを特に強く感じたのは簡易人工心臓を作ったときです。自分たちが作ったのはカプセル状の簡易なものです。しかし本物は空気の漏れなどがないように頑丈で精密に作られていました。また、作り方を教えてくれた大学生の方も、工学部から研究室に入って医工学の道に進んだ人ばかりでした。自分自身、物理を選択しているので、これまで以上に物理を頑張ろうと思ったし、医療と工学がこれほどまで密接に関わっているとは知らなかったので、友だちやクラスメイトにフィードバックしたいと思いました。
また、サイエンスカフェを通してコミュニケーション能力がとても高まったと感じています。はじめは話せなかった人とも時間がたつにつれて意気投合して、仲良くなれました。一番思い出に残っているのは1日目の懇親会でのクイズ大会です。話したことのない人ばかりなので緊張しましたが、思い切って最初に自己紹介したらみんなやさしく接してくれて、リーダー的な感じで話をまとめたりすることができるようになりました。特に仲良くなった人とは将来の夢や自分の学校のことなど、いろんなことを語り合えて、友だちになることができました。みなさんとの出会いに感謝し、今後も頑張っていきたいです。

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