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中高生と“いのちの不思議”を考える─生命科学DOKIDOKI研究室

意外に賢い!ナメクジの脳の不思議~福岡女子大学・神経生物学研究室を訪ねて~

ジメジメした季節になるとどこからともなくあらわれ、ヌルヌルした体で壁や床に張りついているナメクジ。そんなナメクジの脳について20年近く研究し続けている研究者がいる。福岡女子大学の松尾亮太教授だ。先生によると、ナメクジは実にユニークな生き物で、外見からは想像できないが、驚きの脳機能を持っているのだとか。ナメクジの脳の秘密をちょっとだけ教えてもらおう。

松尾 亮太(まつお・りょうた)

福岡女子大学 国際文理学部環境科学科 神経生物学研究室 教授

1971年兵庫県伊丹市生まれ。95年京都大学理学部卒業。2000年東京大学大学院理学系研究科(生物化学専攻)修了。「海馬長期増強に伴い発現変化する遺伝子の網羅的探索」で博士号(理学)取得。同年三菱化学生命科学研究所特別研究員。01年東京大学大学院薬学系研究科助手。05年徳島文理大学香川薬学部講師。12年同大学准教授。13年福岡女子大学国際文理学部准教授。19年より現職。著書に『考えるナメクジ』(さくら舎)など。ナメクジの学習機構、嗅覚、視覚の研究に従事。

ショートムービーで見る研究のあらまし

20年前から交配し続けたナメクジは40代目

そろそろ6月、各地から続々と梅雨入りの知らせが届いている。毎年、晩春から夏にかけては、オホーツク海高気圧から吹きつける冷たい空気と、太平洋高気圧の暖かく湿った空気がぶつかり、前線が停滞して雨が続く。これが梅雨で、 雨が降り続いてジメジメするころになると、どこからともなくあらわれるのがナメクジだ。

ふだんは落ち葉のすき間や植木鉢の下、プランターの陰など湿気のある暗い場所ですごすので、植木鉢を移動しようとしてナメクジを見つけてドッキリした人も多いだろう。風呂場で遭遇して、思わずキャッと叫んだ経験のある人もいるかもしれない。
とにかく湿ったところが大好きで、ヌルヌルの体で這うようにして移動するナメクジに、良いイメージを持つ人はあまりいないのではないだろうか。

どこからともなく出没するナメクジ

ナメクジとは別種だが、近縁にカタツムリがいる。こちらは雨上がりに公園などを散歩して見つけたりすると、「わーっ、珍しい!」と写真に撮ってSNSに上げたりする人もいるだろうが、ナメクジを見つけて喜ぶ人はめったにいないだろう。

要するに、それ自体は人間に対して害はなくても、見た目による“不快害虫”の代表みたいなのがナメクジ。ただし、生食すると寄生虫による重篤な病気になることがあり、これはカタツムリも同様なので要注意。また、イチゴやキャベツ、白菜などが大好きで、新芽などをなめるように食べて、ときに壊滅的な被害をもたらす農業害虫としての側面もある。

ところが、そんな嫌われもののナメクジが、実はとても賢い生き物で、人間も顔負けの“脳力”を持っている、というウワサを耳にした。発信元は福岡女子大学国際文理学部教授の松尾亮太先生。日本でただ一人、ナメクジの脳を専門に研究する「ナメクジ博士」という。

ならば、ホントのところを突撃取材しちゃおうというわけで、福岡女子大学・神経生物学研究室を訪ねた。

さっそくラボ内を案内していただく。ナメクジは、年間を通して19℃に設定された、小ぶりの冷蔵庫のようなインキュベーター3台で飼育していて、現在、ざっと2000~3000匹がいるという。卵の状態から孵化直後の米粒大の赤ちゃん、太りに太ったナメクジまで、湿らせたろ紙を敷いた透明のケースが棲み家となっている。

インキュベーターから飼育中のナメクジを取り出して見せてくださる松尾先生

卵と孵化直後のナメクジの赤ちゃん。けっこうキュートだ

同じ条件で飼っていても、食べまくる個体はどんどん大きくなっていく。その後エサを与えることをストップしてもやせることはないという

切っても赤い血が出ないし、噛んだり刺したりしない。
動きがゆったりしていて逃げ出してもすぐにつかまえられるので、女子学生でも嫌いな人は少ないんだって♪

現在、研究用に飼育しているチャコウラナメクジのほとんどは、約20年前に三重県鈴鹿市で捕獲した個体が産んだ卵の塊に由来しており、ほかからの個体を混ぜることなく交配させ続け、現在では40代目という。いわば“血統書付き”のナメクジだ。

ナメクジは巻貝の仲間。雌雄同体で、呼吸とウンチは孔が同じ

まずはナメクジの基本をレクチャーしていただく。
ナメクジはもともと水中に生息する巻貝の仲間だ。

生物分類では、軟体動物門‐腹足綱‐有肺亜綱‐柄眼目‐ナメクジ科に属する。生物の発生過程において、原口が口となる生物を旧口動物、原口が肛門となって反対側に口ができる生物を新口動物といい、脊椎動物が新口動物に分類されるのに対して、軟体動物は旧口動物に分類される。

その軟体動物のうち、おなかを接地させて這うように進む巻貝の仲間が「腹足綱」。軟体動物の多くが水中で生きているのに対して、陸に上がって肺呼吸するようになったのが「有肺亜綱」で、触角の先端に眼がついているのが「柄眼目」。ここまではナメクジもカタツムリも一緒だが、進化の過程でカタツムリとの共通祖先から分岐したあと、殻を退化させたのがナメクジだ。

「種によっては貧弱な殻のようなものを保持しているものがいます。現在、国内、特に本州や四国、九州でよく見られ、私の研究室で飼育しているチャコウラナメクジという種は、小さい殻のようなものを背中に背負っています。退化した殻の痕跡器官と考えられますが、この殻は、ナメクジ上半身の背側を覆っているマントル(外套)と呼ばれる構造体に埋まっています」

チャコウラナメクジ。全体の地色は淡褐色で、体の前方背面に甲羅状の殻の痕跡をもつ

ナメクジは雌雄同体でオス・メスの区別はなく、交尾による有性生殖で繁殖している。びっくりするのが、生殖器の場所だ。

「生殖器は必要に応じて頭部の右側の孔(あな)から出てきます。ナメクジの寿命は1年ほどで、孵化後4カ月ぐらいで卵を産めるようになりますが、成熟期になるとほかの個体と頭部右側を接触させて互いの精子を交換して体内に保持し、必要に応じて体内で自分の卵(らん)と受精させ、同じ頭部右側の孔から受精卵を産み落とすのです」

頭部の先端近くに口がある。そこには歯舌(しぜつ)と呼ばれるおろし金のような歯が並んでいて、食べものを削りながら食べるという。
「食べものは全身をめぐる消化器官を通過したあと、ウンチとしてやはり体の右側にある、生殖器が出てくる孔より後方の孔から排泄されます。この排泄孔は呼吸孔と出入り口を共有していて、ときどき孔を開いて新鮮な空気を取り入れています」
なんと、呼吸とウンチは孔が同じ!

生殖器も呼吸孔も排泄孔もいずれも体の右側にあるのは巻貝の名残という。多くの動物は左右対称だが、巻貝はらせん状で対称となっていない。一見すると左右対称に見えるナメクジも、巻貝の仲間ゆえのボディプランを持っているのだ。

「脳や触角、口、生殖孔、呼吸孔・排泄孔と、いずれもナメクジの体の前部に集まっているのも巻貝の名残で、殻の中から頭だけ出せばすむように、さまざまな機能を前のほうに集中させているのだと考えられます」

ナメクジの体。大触角の先端部付近に眼がある

ナメクジの体を包んでいるネバネバの粘液は、糖タンパクなどに含まれる糖鎖が主成分で、水分とくっつきやすいことから乾燥を防ぐ役割と、生体防御物質が含まれており、ばい菌が入ってこないように身を守る働きがある。この粘液を利用して逆さのまま壁に張りついて移動できるし、包丁の刃の先も、ケガをせずに進むことができるという。

たった1回の学習で長期記憶が成立

さて、驚異的なのがナメクジの“脳力”だ。
松尾先生はナメクジの脳研究を始めて20年近くになるが、いまだに初対面の人から「ナメクジに脳があるの?」と驚かれることがあるという。

もちろんナメクジには脳がある。ナメクジの頭部の大小二対の触角をたどった先にあるのが脳だ。成体のナメクジだと大きさは1.5㎜角くらいで、ニューロンの数は数十万個。人間の脳のニューロンは数百億個あるといわれているから、ナメクジのニューロンは人間の10万分の1程度にすぎない。

ところが、そんな小さな脳しか持たないナメクジだが、実は記憶力がとてもよい。例えば、ニンジンジュースのにおいをかがせた直後に、苦いキニジン硫酸水溶液を口元にかけると、たった1回の条件づけで、その後、数週間はニンジンジュースに近寄ろうとしないのだという(嗅覚忌避学習)。線虫やハエなどは、記憶が成立するために複数回の繰り返し学習が必要であるうえ、数時間から数日以内しか記憶を保持できず、すぐ忘れてしまうというから、雲泥の差だ。
さらに、においと嫌いな刺激を結びつける学習だけでなく、もっと難しい論理思考を伴う連合学習もこなすという。

ナメクジは暗い場所を好む性質があり、暗い部屋と明るい部屋の間を自由に行き来できるようにすると、ほとんどのナメクジは暗い部屋へと移動していく。そこで、暗い場所にニンジンジュースを置くとナメクジはジュースに近づいていき食べようとするが、そのタイミングで苦い味のするキニジン硫酸水溶液をかけると、のたうち回って「ニンジンジュース=苦い」と学習する。学習したナメクジは、その後、暗いところにニンジンジュースを置くと、ジュースに気づいて後ずさりする。しかし、戻ろうとした先は明るい場所だから、再び暗い方向に向かおうとするが、暗い先には苦い味のジュースがあるため、ナメクジは暗い側にも明るい側にも進むことができず、行ったり来たりを繰り返す。

ナメクジ君が悩んでいるよ!

ところで、こうした記憶はナメクジの脳のどこに保存されるのだろう?
「ナメクジが触角の先端でキャッチしたにおい情報は、触角神経節を通って、『前脳葉』と呼ばれる嗅覚中枢に伝えられます。この前脳葉には、ナメクジの脳に含まれるニューロンの半分が集まっています。ナメクジにとって、におい情報がいかに大切なものなのかがわかるでしょう」

前脳葉の構造とにおい情報の流れ
嗅上皮で検知したにおい情報の多くは、触角神経節を経て、前脳葉の突起層に伝えられる

「前脳葉を破壊すると、学習によって嫌いになったにおいのことは忘れてしまいます。また、学習前に前脳葉を破壊した場合は、そもそも嗅覚忌避学習が成立しません。つまり、前脳葉はナメクジにとって、ヒトやマウスの海馬のような存在といえそうです」

それでは、におい学習の記憶は、前脳葉だけが担っているのだろうか?それを調べるために、嗅覚忌避学習が成立したあとにすべての触角を切断する実験をしてみた。
「ナメクジの場合、切られた触角は数週間でほぼ元通りに再生します。しかし、においの記憶は失われていました。一方、学習が成立したあとに、大小いずれかの触角対を切断した場合は、残った一対で記憶を想起することができます。おそらく、においの記憶は、前脳葉だけでなく、触角にある神経節にまでまたがるニューロンネットワークの間に保持されていて、におい記憶を思い出すときに、覚えるときに使った触角が重要な役割を果たしているのではないかと思います」

脳も触角も再生し、取り出しても脳はしつこく生きている

松尾先生は、大学院では記憶研究の第一人者の井ノ口馨先生*のもとで、ラットを用いて、長期記憶が成立するときに変化する遺伝子の研究をしていた。博士号を取ったあと、東京大学の薬学部の助手になったときに出会ったのがナメクジだった。

*井ノ口馨先生の研究と記憶についての基本情報はこちら
フクロウ博士の森の教室 脳の不思議を考えよう 第2回 記憶のヒミツ
アニメーション https://www.terumozaidan.or.jp/labo/class/s2_02/slideshow.html
インタビュー https://www.terumozaidan.or.jp/labo/class/s2_02/interview01.html

「当時のナメクジの研究は、におい学習をしたら脳波がどのように変化するかというような生理学からのアプローチが大半で、分子生物学者だった私から見ると、新しい発見の宝庫でした。また、それまでやっていたラットの行動実験などは、熟練した人がやらないと同じ結果が出ないのですが、ナメクジの場合は、だれがやっても再現性の高いきれいなデータがきちっと出るんです。お金もかからないし、こんな実験をしたら面白そうというアイデアが次々にわいて、のめり込みました」

嗅覚中枢である前脳葉を破壊したら、どれくらい学習ができなくなるのかを調べていて発見したのが、前脳葉が再生されるということだった。
「成体でも前脳葉で神経が新しく作られることは、ロシアの研究者が1998年にカタツムリで見つけていたのですが、前脳葉が再生することは、私が世界で初めて発見しました」

人間の場合、脳の再生はきわめて限定的だ。ところがナメクジは、ピンセットで前脳葉を潰してしまっても、1カ月もすると小さいながらも脳が再構築される。前脳葉の表面から記録される脳波も正常に戻っていて、におい学習も難なくこなせるようになる。
先に紹介したが、脳と同じように重要な大小2対の触角も、切断しても自発的に再生し、やや小ぶりながら、眼や嗅上皮など必要な要素はすべて揃うという。

神経器官の再生メカニズム
右の大触角切断から15日後、58日後、75日後のナメクジと、それぞれの脳。左の大触角に比べてやや小さいが、外観も脳の機能もほぼ元通りに回復する
Matsuo et al. J Exp Biol 213, 3144 (2010)

また、哺乳類の脳は頭蓋骨の中から取り出すと、組織として長く生きることはない。ところがナメクジの場合、脳を取り出してシャーレの中で生かしておくことが簡単にできる。しかも、取り出された脳はちゃんと機能を維持しており、触角と口をつなげたまま取り出した脳を用いてナメクジに嗅覚学習をさせると、嫌いなにおいに反応するようになることがわかっている。シンプルでありながらなんと頑丈なナメクジの脳!

それにしても、ナメクジはなぜこれほどまでも高い記憶力や、再生できる脳を持っているのだろうか?これについて松尾先生は次のように推測している。

「ほとんどの軟体動物は水中で暮しています。タコもアメフラシもクリオネもアサリも、みんなそうです。一方、あえて陸上に生きる場を求めたのがカタツムリやナメクジです。もともと水の中にいたため、彼らの大敵は乾燥です。そこでカタツムリは乾燥から身を守るため殻を持ち続け、雨の降っていないときは入口を粘液などでしっかりフタをして、葉の裏などで耐える道を選びました。これに対して殻を捨ててしまったのがナメクジです。大きな殻を背負わなくていい分、移動がしやすくなっただろうし、狭い場所に入り込むことも容易になったでしょう。しかし、殻がなくなったため乾燥には弱くなり、雨が降らないときなどは一刻も早く、暗く湿った場所に逃げ込まなければなりません。そのためにはそうした場所を探し出す高い“脳力”が必要です。ナメクジが巧みに生き延びていくために身につけたのが、記憶力だと考えられます。また、におい記憶に重要な触角や前脳葉が多少損傷されても再生できることは、生存に有利に働いたでしょうね」

体の成長にあわせてニューロンも巨大化

ナメクジの脳の研究を始めた松尾先生が、もう一つ興味を持ったのが、前脳葉の下に巨大なニューロンがたくさんあったことだ。
「不思議に思って研究室の他のメンバーに聞いたら、『そういうもんですよ』と言うんです。たしかに、アメフラシなどが大きなニューロンを持っていることはすでに知られていて、DNAが増えているらしいことはわかっていたんですが、それまで哺乳類の脳しか知らなかった私にとっては、これはすごいことだと調べてみることにしました」

与えるエサの量を調整して、成長を抑えたナメクジと、巨大に太ったナメクジを用意した。食べ放題にしたほうは、なんと、もとの10倍近くにまで成長。脳を取り出して調べてみたところ、ニューロンの総数は変化していないが、一つひとつのニューロンが大きくなっており、核DNAの増幅が頻繁に起こっており、ニューロン1個あたりの遺伝子発現量も大幅に増えていることがわかった。

上:ナメクジの体長、体重の比較
下:44日間餌を食べ放題にしたナメクジと、絶食させられたナメクジの脳。スケールバー:500㎛

DNA Endoreplication in the Brain Neurons during Body Growth of an Adult Slug
Miki Yamagishi et al. JOURNAL OF NEUROSCIENCE (2011年4月) より、図版を一部改変

大きくなっているのは、意思決定にかかわる介在ニューロンではなく、主に心臓やその他の筋肉組織の動きを指示する運動ニューロンや内分泌ニューロンだという。
「最も大きいニューロンでは、DNA量が1万倍体を超えるものもありました。体の巨大化に対応するためにニューロンの数を増やすと、脳のニューロンネットワークを再構築しなければならないので面倒ですから、ニューロンそのものを大きくして、体の大きさとともに巨大化した心臓や筋肉組織をコントロールしようという戦略を採用したのだと思います」

肥満に応じてDNAを増やしていくなんて、人間では考えられないことだが、実はアルツハイマー病の患者では、ニューロン死に先立って異常なDNA複製が起こり、核内DNA量が増えるという報告があり、人間の場合のDNAの核内増幅は、神経病理学的な側面から注目されているのだそうだ。
「人間なら病理現象として扱われるDNA増幅を、ナメクジは自分たちが生きていくために適応的に使っているわけです。DNA増幅をプラスに利用しているという点で、私たち人間にとって参考になる可能性があります」

松尾先生が近年力を入れているのは、ナメクジの光感知機構の解明だ。
ナメクジは、乾燥を避けようと暗い場所を好む。暗いか明るいかは、大触角の先端部付近にある眼で感知するが、大触角を両方とも切断して眼がなくなっても、ナメクジはウロウロしたあげく、暗いほうへ行くことがわかった。

「いったいどこで明暗を感じているのだろうと不思議に思って調べてみると、どうやら脳にも光センサーがあるようなんです。眼にあるものと同じ視物質タンパクが発現しているし、光を当てると脳が電気生理学的な応答を示すこともわかっています。ピンポイントで頭に光を当てると嫌がるしぐさをみせるので、ナメクジは脳でも光を感じていることは間違いがない。では、眼からの光情報と脳で感じた光情報をどう統合しているのだろうかと研究を進めているところです」

こんなふうに、少し話を聞いただけでも、興味深い話題が次々に出てくる。
ナメクジ研究の醍醐味はどんなところにあるんだろう?
「とにかく研究者が少ないので、自分が発見したことが即、世界初となるところが魅力ですね。マウスやショウジョウバエなど、競争がシビアな分野は、自分がやらなくてもだれかが見つけてくれるだろうと思えますが、ことナメクジに関しては、私がやらないと絶対に研究が進まない分野で、やりがいがあります」

最後に、中高校生へのアドバイスをいただいた。
「生物に限らないと思いますが、面白いことってわりと世の中にいっぱいあるんです。はやりだからとみんなが群がっている分野とは違って、存在が知られていなくても、自分の目で面白さに気づいたら、もしかしたらそれがチャンスかもしれません。そういう世界があることを、頭の隅にとどめておいてほしいですね」

(2021年5月24日更新)