設立趣意書

わが国の高度な産業経済の発展は、工業先進国としての繁栄をもたらし、世界における経済大国として、その地位を確固たるものとしました。その結果、国民生活の物質的向上は、一流先進国に比肩しうるものとなりました。

80年代に入り、時代は、健康と豊かさの追求へと、その流れを変えてきております。このような環境と、高齢化する社会に対し、医療の役割は、ますますその重要性を増しております。

今日の医療水準の向上と安全性は、高度な科学技術の所産として、人工臓器分野の生体適合性素材の開発、医療機器の基本的品質の飛躍的向上、さらに各種の診断用、監視用装置のエレクトロニクス化など、現代科学の綜合化の成果として、医療テクノロジーの進歩に負うところ大であります。

わが国の医療技術が、広く世界の医療の場に貢献し、健康な生活を通じ人類の平和に寄与していくことが、国際化時代における課題であります。

このような現状において、当財団法人設立の趣旨とするところは、生命科学分野の科学技術に関する研究助成、普及啓発、国際交流の援助を行うことにより、わが国の科学技術の振興をはかろうとするものであります。

ここに、テルモ株式会社の醵出金により、当財団法人を設立し、その目的とするところを遂行しようとするものであります。

昭和62年1月23日