この人に聞く「生命に関わる仕事っておもしろいですか?」第1回 いつか生命を創り出して、いのちの不思議を理解してみたい 東京女子医科大学 先端生命医科学研究所 大和 雅之 教授

この人に聞く「生命に関わる仕事っておもしろいですか?」 第1回 昆虫の脳をロボットで再現、脳の秘密に迫る~東京大学先端科学技術研究センター・神﨑研究室を訪ねて

Profile

1964年東京生まれ。1994年東京大学大学院 理学系研究科博士課程修了。日本学術振興会博士研究員、日本大学薬学部助手などを経て、1998年東京女子医科大学 医用工学研究施設助手、2003年同大学・先端生命医科学研究所助教授、2008年より教授。専門は再生医療、組織工学、幹細胞生物学。著書に、『図解ナノテクノロジーのすべて』『現代医学の基礎第14巻 移植と人工臓器』など。『再生医療技術の最前線』監修、論文多数。理学博士。

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大和雅之先生が研究しているのは「細胞シート」。からだの一部が傷ついたり、失われたときに、ペタッとはって細胞を元気にする、ものすごく薄い湿布薬みたいなものなんだって!

文学部か理工学部か、進路に迷った高校時代

───中学・高校時代から生命科学の研究をしたいと考えていたのですか。
中学1年生のとき、みかん狩りにて

中学1年生のとき、みかん狩りにて

実をいうと、当時は生物学にはほとんど関心がなかったんですよ。むしろ哲学に興味があって、東大に入るときも文III(文学部)を受けるか理I(理工学部)にするか迷ったくらいなんです。東大では1・2年生は全員が教養学部で、2年の後半に進学振り分けがあって3年次からの学部を決めるんですけど、ここでも、サイエンスを学際的に探求する教養学部の基礎科学科に進んだから、物理や数学、化学など何でもアリで、専門一筋という感じはしなくて、卒論のテーマとしてようやく生化学を選んだわけ。これも「どうしてもやりたい」というより、消去法で選んだというほうが正確かな。

───研究にどっぷりつかった学生生活ではなかったんですか!?

大学の授業もそれほど熱心には出席しなかったしね。そのかわり、高校時代から興味をもっていた哲学は一生懸命勉強したよ。大学生のころには海外の哲学書の翻訳をしたり、「現代思想」という雑誌に原稿を書いていたりしたんだ。後から東大の総長になる蓮實重彦先生の授業を科目登録もせずに受けたりしていた(笑)。

───大学時代に生命科学との関係で印象に残っていることは?

大学1年か2年のとき、「ブレードランナー」という映画を見たことかな。これは、フィリップ・K・ディックの『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』を原作としたSF映画なんだけど、それまでロボットというと、鉄腕アトムや鉄人28号など歯車で動いていた。それがこの映画では、遺伝子工学によって開発された人間そっくりのレプリカント(人造人間)が登場するという設定だったんです。そうか、細胞とかDNAでロボットが創れるのか!と感動したなぁ。
でも、それが生命科学の道を進むようになったきっかけかと言われると、そういうわけでもないんだけれど……。ただ、強い印象に残ったことはたしかです。

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