この人に聞く「生命に関わる仕事っておもしろいですか?」第7回 「エピジェネティクス制御」は、これからの皆さんの研究テーマですよ。 大阪大学大学院 医学系研究科 生命機能研究科 仲野 徹 教授

この人に聞く「生命に関わる仕事っておもしろいですか?」 第7回 「エピジェネティクス制御」は、これからの皆さんの研究テーマですよ。 大阪大学大学院 医学系研究科 生命機能研究科 仲野 徹 教授

Profile

仲野 徹(なかの・とおる)
1957年大阪生まれ 大阪府立大手前高等学校卒業後、1981年 大阪大学医学部医学科卒業。1984年 大阪大学医学部助手、1989年 ヨーロッパ分子生物学研究所(EMBL)客員研究員、1990年 京都大学医学部助手、京都大学医学部講師を経て、1995年に大阪大学微生物病研究所教授に就任。2004年より現職。大阪大学21世紀COEプログラム拠点リーダー。医学博士。主著に『幹細胞とクローン』『生殖細胞の発生・エピジェネティクスと再プログラム化』『再生医療のための分子生物学』など。

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大阪の下町で育った仲野先生は、ときおり関西弁を織りまぜながら、子ども時代や研究生活のこと、中高校生への期待などを熱く話してくださった。先生の研究分野は、「エピジェネティクス制御」という、なにやら難しそうな領域。この分野の研究はまだ始まったばかり。これから生命科学を研究したいというキミにとっても、大きな可能性が広がる分野だ。

こてこての大阪の下町で過ごした少年時代

───子ども時代はどんな環境で育ったのですか。

大阪でも有数の下町商店街で育ったんです。スーパーのダイエー発祥の地としても知られていて、すごい賑やかな街でした。物価も日本一安いといわれていて、住んでいる人も「こてこて」の大阪人。ほら、テレビで「秘密のケンミンSHOW」ってやってるでしょ、あれに出てくるヒョウ柄の服を着た女の人がぎょうさんいて、テレビのインタビューに答えているといえば、イメージしやすいかな(笑)。

───エネルギーあふれる環境で、元気よく過ごされたんでしょうね。

それはもう、毎日遊んでばかりいました。近所づきあいも濃厚で、ソフトボールをしたり、たくさん友達がいた。勉強の方は、小学校4年生くらいまでは成績が悪くて、学校には怒られに行くようなもんでした(笑)。まあ、勉強もせえへんでしたから無理もないけれど。ただ、本を読むのは好きで、「少年少女文学全集」などを愛読していました。

───文科系と理科系のどちらに興味があったのですか。

科学にも興味がありましたよ。当時「科学」という雑誌にフナの解剖セットなどが付録についていて、それで解剖をしたり、虫捕りをしたり。そうそう、中学校のときには、ちょうど大阪万博が開かれて、バスで30分ほどの距離の万博会場に15回くらい出かけて、すべてのパビリオンを回りましたわ。テレビ電話や簡単な電子計算機など、当時の最先端技術が展示されていて、科学についてみんなが楽観的で、夢を見ることができた時代だったような気がします。なかでもアポロの月面への着陸などのニュースには実に心が踊ったもんです。

高校時代の運動会で

高校時代の運動会で

───将来の進路を決めたのはいつごろですか。

京都大学霊長類研究所のサル学が注目を浴びていて、高校時代には霊長類を研究したいという希望を持っていたんです。ところが、「サルの研究ではほんまに飯が食べられへんで」と言われましてね。私が通っていた高校はクラスの約半分近くが医学部に行く典型的な進学校ということもあり、かなり迷ったけれど、医学部に行くことにしました。
進路を決めたのは高校3年の夏休みで、それから本格的な受験勉強をしました。といっても、いまのように予備校に行ったり、塾に行ったりはせずに、受験のためのラジオ講座と参考書だけで勉強したんですよ。

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