この人に聞く「生命に関わる仕事っておもしろいですか?」第15回 細胞の中身が入れ替わる「オートファジー」の謎に迫る 東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 細胞生理学分野 水島 昇 教授

基礎医学から研究者への道もある

───生命科学の研究者を志す中学・高校生にアドバイスをお願いいたします。

理学部などの生物系の学部に進学するだけが、生命科学分野の研究者への道ではありません。医学部に入学しても将来の進路は多様に開かれています。医学部には医者になるための臨床医学の講座と、診療には携わらないで研究活動を中心とする基礎医学の講座があります。
医学部の基礎医学を学んで生命科学の研究者になる道もあるということを知っておいてほしいですね。研究者は多様であるべきで、人間生物学とでもいえる医学を学んだ者が研究者になることは、非常に大切なことだと思います。

───研究テーマを選ぶときに必要なことは何ですか。

既存の研究分野にとらわれるなと言いたいですね。たとえば、大学で神経研究をやりたいから神経の勉強だけをするのではなく、そうしたカテゴリーにとらわれることなく、広く学ぶことから始めたらいいでしょう。いまあるカテゴリーから研究テーマを選ぶのではなく、自分でカテゴリーをつくり出すんだというくらいの心意気がほしい。
それと、自分の中で「これは手放せない」というテーマを大切にあたため、持ち続けることも重要だと思います。

───中学・高校時代にやっておいた方がいいことはなんでしょう。

自分の経験からいって、国語と歴史の勉強はしておいた方がいい(笑)。研究者も論文などは日本語か英語で書くことになります。英語の重要性ばかりがいわれますが、国語も重要であることを忘れないでください(笑)。主人公の心を読み取るのが苦手であっても、正しい日本語と英語は書けるようになっておきたい。
それと、いまは、一人だけで研究することは少なくて、チームプレーで研究することが多いのです。それだけに、ほかの研究者とコミュニケーションをとれるような社会性をもつことが大切。勉強だけでなく、広がりのある友人関係を築くためにも、いろいろなことにトライして幅広い視野を持ってほしいですね。

(2012年1月5日取材)

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