公益財団法人テルモ生命科学振興財団

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中高生と“いのちの不思議”を考える─生命科学DOKIDOKI研究室

マンガdeひもとく生命科学のいま ドッキン!いのちの不思議調査隊

第1話 人工冬眠

本来冬眠しないマウスを、冬眠に似た状態に誘導できる新しい神経回路を発見したのが、砂川玄志郎博士たちのチーム。もし人間を人工的に冬眠させることができたら、緊急医療や臓器移植など医療の現場で多くの命が助かるし、到着までに十数年かかる宇宙のかなたへの旅行だって可能になるかもしれない。冬眠とは何か、人工冬眠研究の現状やこれからの可能性は?

それはある日ある街での突然のできごとでした……

うわっ!!なんだ!?

学校の裏山に落ちたみたい!

行ってみよう!

あそこだ!

地面にめりこんでいるぞ…

助けてくれてありがとう!

わぁ!しゃべった‼

カワイイ!ぬいぐるみ!?

ぼくはドッキン

DOKIDOKI星から地球の生命科学を調査するためにやって来たドッキ!

えーっ宇宙人ってこと……!?

マンガみたい…!

日本にあるとある研究所に到着する予定だったけどちょっと位置がずれちゃったみたい!

直撃してたら大変なことになっていたと思うよ…!?

あっちの方角ドキ!

さあその珍しい乗り物で連れて行ってドッキ!

ええ~っなんで僕が……

強引だなぁ~

兵庫県神戸市理化学研究所生命機能科学研究センター

老化分子生物学研究チーム砂川玄志郎 上級研究員

「冬眠」の話を聞きたいというのはきみたちかな…?

砂川先生は「冬眠」の研究で有名なんだぁ

それではるばるDOKIDOKI星から訪ねてきたドキ!

ほら!DOKIDOKI星の新聞にも載ってるドッキ!

えええ~~よその星でも話題に…!?

知らんかった…

冬眠とは…⁉

冬眠をする動物たちは寒い時期になるといつもの生活をお休みして体温を下げ体のはたらきをできるだけ少なくして休むことで食料の少ない冬を過ごしています

研究のために冬眠中の動物の体に何が起こっているのかを調べてみました

すると心臓の動きが少なくなっていたり……

呼吸も少なく体が酸素をほとんど使っていないことがわかりました

そして食事…つまり栄養をとることもしていない……

生命活動を保っていくための体の中のはたらきがまるで止まっているかのように見えることがわかったんです

僕たちが毎日眠って起きる「睡眠」では

寝ている時は心臓が動き息もする

体は動くし栄養だって必要よね

そうか~冬眠と睡眠ってちがうものなんだねぇ~

冬眠する動物はこれらの体の動き…「代謝」を限りなくなくすようにして過ごします……

それってほとんど「死んでいる」のに近い状態なんですよ

えぇ~

それなのに冬眠が終われば生命活動を取り戻すわけです

とても不思議な気持ちになりますね!

いったいどうなってるんだぁ~?

砂川先生はもともと小児科のお医者さんだって聞きました!

そうなんです

治療が難しい病気の子供たちにたくさん出会いました

その中で「代謝」を少なくできれば体をできるだけ休めて治療がうまくできるかもしれないのに……と思うことが多かったんです

冬眠のしくみがわかればヒトの体もこの方法で休ませることができるのではないかと……

冬眠のように眠らせてそのあいだに病気の治療をしたり……

現代の技術では治療できない難病の患者を医療の研究が進むまで休ませておいたり…

もしかしたら未来の宇宙旅行に役立つかもしれません

ドッキンも地球に来るまでそんな方法で来たかったぁ~

たいくつでずっとプチプチをつぶしていたドッキン

はやく実現してほしいドッキ!

そうですよね!

それで私たち冬眠の研究者はいろいろな方法で「冬眠はいったいどういうしくみで起きているんだろう」という謎について調べているんですよ

私たちが2020年に行った研究では本来なら冬眠しないはずのマウスで実験をして……特定の神経細胞群を興奮させるとまるで冬眠のように体温や代謝が低下することを発見しました!

そしてその神経細胞群を「Q神経」と名付けこれを刺激すると起こる代謝が低くなる状態を「QIH」と名付けました

Q神経は他の哺乳類にもあるのでいろいろな動物を冬眠のような状態にすることができるようになるかもしれません

私たちにもあるのかなぁ…?

DOKIDOKI星人にもあるドッキ…?

自然に冬眠する動物を調べる実験をすると年に一度しかそのようすを観察することができません

「冬眠の研究」はデータを得るのが難しいテーマと言えます

しかもいつ冬眠が始まり終わるのかそれがどうして起こるのかもわからない

冬眠中の動物の体はどうなっているの?

冬眠する動物とそうでない動物の違いは何?

わからないことだらけです

難しいテーマだからこそまだまだ魅力的な謎が残されている…とも言えます!

やりがいのある研究です!

僕も研究してみたいなぁ~

というわけで冬眠については

冬眠は代謝を極限まで低下させる!

冬眠に似た現象を起こす研究もある!

しかしまだわかっていないことが多い!

ということがわかったドキ!

ドッキンレポート送信~!

これでDOKIDOKI星にひとつ生命科学の最新情報を届けられたドッキ!

ドッキン今回の任務完了!

マンガのつづきをよむ
(全10ページ)

お話をうかがった先生

砂川 玄志郎
(すながわ・げんしろう)

理化学研究所 生命機能科学研究センター 老化分子生物学研究チーム 上級研究員

2001年より小児科医として救急医療・麻酔・集中治療に従事。大阪赤十字病院、 国立成育医療センターで医師として勤務。その後大学院に進学し、06年から睡眠研究に従事。13年より理化学研究所生命システム研究センター研究員。生命機能科学研究センター基礎科学特別研究員などを経て、20年より現職。京都大学大学院医学研究科修了。医学博士。

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