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中高生と“いのちの不思議”を考える─生命科学DOKIDOKI研究室

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マンガdeひもとく生命科学のいま ドッキン!いのちの不思議調査隊

第29話 植物の形づくり

植物はタネから根や芽が出て、茎、葉、花などの器官がつくられる。この形づくりの出発点となるのは、動物と同じ受精卵だ。植物では、受精卵の分裂はどのようなメカニズムで進んでいくんだろう? この謎を、受粉後に花のめしべの奥深くにつくられる受精卵をライブイメージングすることによって解明しようと取り組んでいるのが東北大学大学院の植田美那子教授だ。最近では、細胞内で起きている現象に数学や物理を使って迫ろうと共同研究も進めているんだって!

うう…庭の 草むしりって 大変だね! 草の根元を しっかり握って 引っぱるんだよ! せーの… よいしょ~! わぁぁ! 根の部分は こんなに 長かったのね! 植物が地面の下で こんなふうに 成長するなんて フシギだね! どうして こんな形に なるんだろう?

植物も動物と おなじように 受精卵から 発生します! 植物はどうやって たったひとつの 細胞から分裂して かたちをつくって いくのか!? 私たちは そのしくみを 研究しています 植田 美那子先生 東北大学 大学院生命科学研究科 生態発生適応科学専攻 教授

植物も 動物とおなじように 精細胞と卵細胞によって 生殖が行われます 最初に 受精卵が分裂して 細胞が増えて いきます そしてしだいに こちらは茎や葉っぱ こちらは根…と 「上下」ができる そして 「内側・外側」 ができる ひとつの細胞から 始まるのに そうやって 分かれていくのは 不思議ですね! この「体軸」が できるしくみは まだわかって いないんです この発生の過程は 花や種子の 奥深くで起きるので これまでは生きたまま その動きを見ることが できませんでした

そこで 特別な顕微鏡を用いて 種子の中にある 受精卵のようすを 観察できるようにしました この顕微鏡は 細胞内の深いところまで 光が届いてクッキリと 三次元のかたちが見られる という特長があります <二光子励起顕微鏡> 受精卵や胚を 生きたまま 見ることが できる! 切ったりしなくても タネの内部が見られる ってことですか! ドキドキ するね!

ライブイメージング (生きたままリアルタイムで 可視化する手法)を用いて いったいどうやって 細胞分裂が起きるのか どうやって 植物のかたちが できていくのかを 観察しました! (ライブイメージングは2015年当時名古屋大学、現在東京大学の東山哲也先生のご協力がありました) すると シロイヌナズナの 場合は細胞が 上下軸方向に伸び… 「首」ができて そこからポン! と分裂することが わかりました このとき 細胞内の液胞が 細く伸びながら 下に動いていくことや 分裂するときの ミトコンドリアの 分布もわかりました そして 真っぷたつに 分かれるのではなく 下の部分のほうが長い 「不等分裂」である こともわかりました

そして 細胞の先端が 「横に広がる」 のではなく 「伸びる」理由に ついても 調べました あれっ!? いったいどうして なんだろう!? 受精卵が伸びていく ところを観察すると 細胞が成長するとき 「ちょうちん」のような 形で伸びていることが わかりました このちょうちんの 骨組みのように 受精卵には 微小管バンドという コルセットがあり 筒状の部分を 締め付けます そのため 外方向に広がる ことができず細胞は 上に伸びていくしか なくなるんです! これ以上 太れないって ことですね そうやって 細長くなる のかぁ!

この成長のしくみを 機械工学や数学の研究者が 数学的に説明して くれました それによると植物の細胞は プラスチックやゴムのように 変形しているらしいと いうことがわかりました (数学的な解析は当時 秋田県立大学助教、現在 北海道大学准教授の津川暁先生との共同研究を行いました。) 「弾塑性変形」 細胞が少しだけ 変形したときには 形はもとに戻る 大きな変形を したあとには 少しだけ戻る これを 繰り返しながら 伸びる 伸びが止まると バンドが自然に 消えることも わかりました 途中でわざと 成長を止めると バンドが消えて しまいます 植物の細胞の伸び具合に このバンドが深く 関わっていることを 突き止めたんですね!

…そういうわけで 被子植物の シロイヌナズナについては このような 細胞伸長のしくみがある ことがわかりました ほかの植物も おなじような方法で 伸びているん でしょうか? それはこれから 調べていくところ なんですよ ライブイメージングを するための 二光子励起顕微鏡では 小さなもののほうが 見やすいので 小さなコケ植物やシダ 植物から試したいです そうしていずれは 植物全体の 成長のしくみを 知ることができたら いいなと思っています

先生は 中高生時代は どんなことに 興味があったん ですか? 「この花きれいだな!」 と感じることが多くて 植物の姿かたちに とても関心がありました サクラの八重咲きなど 変わったかたちの 花びらを持つものが 好きでした 動かない 植物の研究なんて 面白くなさそうと 思われるかも しれませんが 細胞のなかでいろんなものが バタバタ動き回っていたり 成長し続けないと消えてしまう 微小管のコルセットがあったりと 予想外の発見が目白押しで 毎日ワクワクしています みなさんも 興味をもったものがあれば 「どうせこんな感じでしょ」と 決めてかからずに ぜひいろいろ調べて みてください!

植物の受精卵が「上と下」「内と外」をつくり 成長するしくみの研究…。 生きたまま受精卵の分裂を観察するのは難しいと言われていたけれど 二光子励起顕微鏡で観察できるようになったんだって。 被子植物の受精卵は「不等分裂」いう 分かれかたをしながら増えていくこと、 「コルセット」のような微小管が細胞を締め付けることで、 横に広がらず上へ伸びることがわかったんだって! 今後はほかの種類の植物が伸びるしくみも 説明しようとしているらしい。 よし!今月も 宇宙に向かって レポートを送ろう! …あれ!? 空から何かが 降ってきたよ!? DOKI DOKI星 からの手紙だ! 次回最終回! ええーっ!? (終)

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(全10ページ)

お話をうかがった先生

植田 美那子
(うえだ・みなこ)

東北大学 大学院生命科学研究科 生態発生適応科学専攻 教授

2000年京都大学理学部卒業、05年3月京都大学大学院理学研究科生物科学専攻修了。博士(理学)。ドイツ・フライブルグ大学での博士研究員ののち、08年4月名古屋大学大学院理学研究科特別研究員、10年10月奈良先端科学技術大学院大学助教を経て、13年名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所特任講師。2020年10月より現職。

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