フクロウ博士の森の教室「からだを復元させる医療の話」

最先端の研究やモノづくりに挑戦してほしい

───研究者として大切なことはどんなことでしょう。

最先端の研究をしようという志を持つことでしょう。いま、病院には難治性の病気に苦しんでいる子どもたちが大勢入院しています。そうした子ども用の治療薬は、1980年前後に研究されていたものがようやく薬として使われるようになったものです。現代から考えればローテクと考えられるものでも、当時、最先端の研究として、精製して、品質を検証し、有効性を確かめたものが、いま子どもたちを助けているのです。
最先端にチャレンジする研究者の志や活動こそ、難病の子どもたちを持ったお母さん、お父さんの唯一の希望であることを知っておいてほしいですね。

───中高校生へのメッセージをお願いします。

いろいろなモノづくりに挑戦してほしいですね。そのためには、やはり医学部や理工学部に進んでほしい。今は医工連携の時代ですから、医学部でなくて工学部に進んでも生物や生命に関係した研究やモノづくりはできます。
私の場合、医学部に入ったのですが、研究者として間葉系幹細胞から骨細胞、脂肪細胞、心筋細胞、神経細胞などを分化誘導することに成功して、それらのさまざまな細胞を材料として研究者や医療現場に提供することができました。その時代の最先端の研究やモノづくりをすれば、それを最高の技術や医学で使ってくれる人が現れるものなのです。
それと、研究分野はたとえばヒトや動物だけに限らなくていいと思います。いま、遺伝子に関係する子どもの病気を治せる研究は植物分野からも来ています。植物の機構を調べている研究者が、植物の中には遺伝子を壊したり、編集する能力があることを見つけ、それを動物細胞に使えば遺伝子を壊したり治したりすることができると発表して、注目されています。
幅広い視野に立って、最先端の研究、モノづくりに取り組んでください。

(2013年12月6日取材 2014年2月公開)

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