この人に聞く「生命に関わる仕事っておもしろいですか?」第12回 細胞の声を聞くのがうれしくて研究を続けているんです。 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス研究科 分子発生生物学講座 高橋淑子 教授

英語と国語だけはしっかり勉強して!

───中高校生に一言メッセージをお願いします。

私は、よくいう理系・文系という分類が好きではないんですね。理系とか文系とか関係なく、好きだと思うことをやればいい。それに最初からこの大学に入学して、この学問をやろうなんて、小さいときから思い定めて飛ばしすぎてもつまらない。そんなことしたら息切れしてしまいます。自然の状態で生きていけばいい。若いときには、お日様の出ているときは外に出て自然に触れ、夜になったら読書をする、これでいいんじゃないでしょうか。
そして、社会人になってからでも、たとえば生命科学の研究者になりたいと思ったら、遅くはないから研究室の扉をたたけばいい。私の勤めている大学では、そうした人も受け入れていますよ。
ただ一つ、これだけは絶対勉強してほしいというものが英語と国語(母国語)です。いま、生命科学の分野は、日本で競争してどうなるというレベルではなく、世界が相手です。そうすると英語ができなければ勝負できない。相手にされないですからね。
そして国語は、自分の考えを論理的に考え、まとめる上でも必須です。最近の学生の中には、論理的な表現が苦手な人が増えているようですから。

───研究者として必要なことは何でしょう。

私は研究というのは幅広い意味で哲学だと思っているんです。私が素晴らしい研究者だと思うのは、その研究者が哲学を持っているときですね。生命科学の研究に加えて、歴史をよく知っている、人間の深み、重みがある、そうした人が豊かな研究ができると思います。素敵な人間こそ、素敵な研究ができるのです。これだけは間違いありません。

(2011年7月25日取材)

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