この人に聞く「生命に関わる仕事っておもしろいですか?」第14回 多くの人との出会いが、研究生活を豊かにしてくれます。 独立行政法人理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター 組織形成ダイナミクス研究チーム チームリーダー 倉永 英里奈 先生

この人に聞く「生命に関わる仕事っておもしろいですか?」 第14回 多くの人との出会いが、研究生活を豊かにしてくれます。 独立行政法人理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター 組織形成ダイナミクス研究チーム チームリーダー 倉永 英里奈 先生

Profile

倉永 英里奈(くらなが・えりな)
1997年九州大学農学部卒業。東京大学大学院農学生命科学研究科にて修士課程修了。ジュニアリサーチアソシエイトとして理化学研究所で3年間勤務後、大阪大学大学院医学系研究科にて医学博士取得。2004年東京大学大学院薬学研究科の助手に就任、2006年8月より同研究科講師。2011年1月より現職。

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子どものころ、大好きなおばあちゃんといっしょに熊本の自然を遊び舞台にし、「ファーブル昆虫記」に夢中になった倉永先生は、やがて良き先生や仲間とめぐり会いながら、研究者の道を歩むようになった。若くして日本でも有数の研究組織・理研のチームリーダーになった先生が、わくわくして研究を進めているテーマとは?

おばあちゃん子で育った子ども時代

───どんな子ども時代を過ごしましたか。

生まれたのは熊本県の田浦(たのうら)という田舎町です。いまはもう吸収合併でなくなってしまいましたが、水俣に近く、前は海、後ろは山、自然に恵まれたところで育ちました。
両親が共働きだったので、おばあちゃん子でした。祖母の家はミカン農家で、山に一緒に出かけてはミカン採りの手伝いをしました。季節ごとに、春にはワラビやフキ採り、秋にはカキやクリ拾いをして飽きることがなかったですね。
祖母は夜寝るとき毎晩お話をしてくれました。それを聞きながら頭の中でストーリーに合わせたイメージを描くのも楽しかった。
一人でいるときは、自分で本を読むのも大好きでした。子ども向けに書かれたものでしたが、イソップ物語、日本昔話、ファーブル昆虫記、そうそう、仏教の話にも興味を持って、嘘をつくと閻魔様に舌を抜かれるというので、こわいなあ、いやだなあって(笑)。

───おばあさまの影響が強かったのですね。

祖母が日本舞踊を習っていたので、私もやりたいと見よう見まねで踊っていました。歌を歌うことも好きでした。ピンクレディーから演歌まで、なんでも歌っていたみたいです。車の中で何時間もアカペラで歌い続けていたとか。大きくなったら歌手になりたいって思っていたんです(笑)。

庭で干し柿づくり

庭で干し柿づくり

おばあさまとともに、日本舞踊の発表会

おばあさまとともに、日本舞踊の発表会

───小学校時代の思い出はありますか。

小学校に入ってから駅の近くに引っ越しをしました。いわゆるカギっ子で、庭のアリを観察して遊んでました。アリが行列をつくって歩いている間に水を通すとどうなるのかとか、どのお菓子に誘因されるのかとか、遠く離れたところにお菓子を置いたらどうかとか、あるいは一匹だけ別のところに連れて行ったらちゃんと帰れるのかとか・・・。

───研究者の素質が大いにありそうですね!子ども心に研究者になりたいとか、思わなかったのですか。

職業として、研究者には憧れがありました。私にとって研究者は、薄暗くてじめっとした部屋に一人で閉じこもって顕微鏡を覗いているという、どちらかというと暗いイメージでしたが、そこに何ともいえない魅力を感じていました。ガリレオは真実を述べたことで迫害を受けたし、ノーベルも自分が発明したダイナマイトが志と反対に兵器として利用されてしまった。どうもサイエンティストはハッピーエンドでは終わらない人生を送っているようだけれど、そんな悲劇性に共感したんです(笑)。

───好きな科目はありましたか。

科目の好き嫌いはなく、あまり勉強はしませんでしたが、どの科目も成績が良かった。でもそのためにかえって勉強しなくてもできるんだと思い込んでしまって、あとから苦労することになったんです(笑)。

おばあさまの影響もあってかストーリーテラーで、2年生と6年生のときに、県立図書館主催の童話発表会で大賞に輝いた。

おばあさまの影響もあってかストーリーテラーで、2年生と6年生のときに、県立図書館主催の童話発表会で大賞に輝いた。

お祭りで子どもみこしに参加して

お祭りで子どもみこしに参加して

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