フクロウ博士の森の教室「からだを復元させる医療の話」 第20回 iPS細胞から血小板をつくる 京都大学iPS細胞研究所臨床応用部門 江藤浩之教授インタビュー

「できない」と決して言わないこと

───これからの課題はどのようなことがあげられますか。

生体内では1つの巨核球から2000個ほどの血小板が産出されると考えられています。けれども、私たちの研究グループを含めて、どの研究グループも細胞培養による血小板の生産では、せいぜい数十個しかできていません。しかも、まだ製品にばらつきがあるので、より安定的に、多く生産できるようなシステムをつくることが必要だと思いますね。

───中・高校生へのメッセージをお聞かせください。

失敗してもめげないでポジティブにチャレンジしてほしいです。人生、楽観的であることが必要なんですよ。最近、学生たちや研究員が「できない」と口にすることが多い。しかし「できない」ということを一言いった瞬間に、周りにいる人は「もうこの人には何事も期待しないほうがいい」と思ってしまいます。反対に「できる」「できる」と言い続ける人には、「何でも話してみよう」「アイデアをぶつけてみよう」と思うものです。そうすると、いろいろな人の話の中に考えるヒントが隠されていることがあります。考えてみると、私はそうやってこれまで生きてきたような気がします。
もっとも臨床医を務めていた時にはそうでもなかったのです。私が変わったのはアメリカに留学してからです。アメリカで成功している人を見ると、みんな非常にポジティブで「できない」とはまず言わないのです。「こうでなければだめなんだ」と思って、それ以来、「できない」という言葉を封印しました。
それと、高校生が大学や大学院に進んだ時には、できる限り留学することを勧めますね。留学すれば、自分を知るきっかけにもなるし、人生観を変えるきっかけになると思います。

江藤浩之教授

(2012年12月3日取材2013年2月公開)

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