フクロウ博士の森の教室「からだを復元させる医療の話」

精神・肉体ともにタフであれ

───これからどんな研究に力を入れていきたいと考えていらっしゃいますか。

まずは今後始まるパーキンソン病の細胞移植の臨床研究に全力を尽くしたいと思っています。脳の病気の多くのものはネットワークを構成している神経細胞が欠落して起きると考えられます。パーキンソン病だけでなく脳梗塞などほかの脳の病気についても、細胞移植によって改善できるものがあるはずです。こうした病気にも応用していきたいですね。
こうしてさまざまな知見を積み重ねて、「脳をつくる」ということに挑戦してみたい。むろん、脳を丸ごとというのは無理でしょうが、たとえば大脳運動野から脊髄へと延びる長い神経回路をつくるなど、脳内のネットワークを支えるような再生医療をめざしたいと考えています。

───最後に中高校生にメッセージをお願いいたします。

若いときに古典を読んでください。「枕草子」「徒然草」なんでもいいですが、古典を読んでいると、現在の目の前のことだけにこだわるのではなく、長いスパンで物を考えることの大切さを教えてくれます。研究だって1000年前と1000年先のことを思い描いて行うことが大切だと思います。
それと英語ですね。日本語だけでは、読める本も、得られる情報量もたかが知れています。英語で発信することで世界中の研究者と議論できる。英語ができるかどうかによって世界の広がりが全く違ってきます。
また、もし研究者になるなら、精神的にも肉体的にタフであってほしい。実験をやってもうまくいくばかりとは限らない。そんなときにも下ばかりむくのではなく、それを乗り越えるタフさとポジティブさがないとだめです。そのためにも自分に自信を持つこと。自分の可能性を信じてください。

(2014年4月16日取材)

PAGE TOPへ
ALUSES mail