フクロウ博士の森の教室「からだを復元させる医療の話」

大発見!と思える瞬間が研究の醍醐味

───研究の面白さはどんなところにあるのでしょう。

実験しているとき、「あっ、これは大発見ではないか」と思えるようなことが、1年に一度くらいはあるんですね。ノーベル賞級とまではいかなくても、この研究成果を発表したら、多くの研究者がきっと驚くだろうと思えるような瞬間があります。そんなときは研究の醍醐味を感じることができますね。
これまで、Ⅺ型コラーゲンをクローニングしたときは、「やった」と思いましたね(笑)。その後ラボを持って大学院生などを指導するようになってからは、やはり、大学院生が2つの山中因子とSox9を入れて軟骨ができたと見せてくれたときは感動しました。

───ラボを運営する際の心構えのようなものはありますか。

私のラボ生活は大阪大学にいたときに、教授になる前に小さなラボを持たせてもらったことに始まります。いまはそのときより大きなラボを持っていますが、小さくても大きくてもラボの運営は難しいですね。
指導する相手は研究者なので、独創性を持っていることが大切なのですが、研究室としては同じ方向性を持ってもらわなければなりません。軟骨の研究を通じて、軟骨の病気で悩んでいる患者さんの役に立つような研究をするというふうな方向性の確認が大事なんです。それができないと、よい研究はできないと思っています。

───若い人へのメッセージをお願いします。

私は軟骨をテーマにして長いこと研究を続けてきました。やはりクラブ活動でも研究でも何でもいいから、長くやり続けること。そうすれば、「石の上にも3年」というけれど、何か成果を得ることができるのではないでしょうか。
それともう一つ。若いころ一緒の時間を過ごした友人、仲間、同僚を大切にしてください。たとえば、高校や大学を卒業してしばらく会わなくなっても、10年もしてからお互いに助けたり助けられたりする機会が意外にくるものです。そんなとき、仲間の大切さを痛感しますよ。

(2014年8月15日取材)

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