フクロウ博士の森の教室「からだを復元させる医療の話」

第12回 脳を読み取るBMI 大阪大学国際医工情報センター寄附研究部門 平田雅之教授インタビュー 完全埋め込み型のBMIを開発、 ALSや頚椎損傷などで手足が動かせない患者さんをサポートしたい。

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平田雅之(ひらた・まさゆき)
1985年東京大学工学部卒業。87年東京大学大学院工学系研究科修了。94年大阪大学医学部医学科卒業。2001年大阪大学大学院医学系研究科修了。03年大阪大学大学院医学系研究科機能診断科学助教。09年大阪大学大学院医学系研究科脳神経外科学助教、同年大阪大学大学院医学系研究科脳神経外科学特任准教授。2016年より現職。専門はBMIによる脳機能再建。

ALSなどの難病で身体を動かせない患者さんの大脳皮質に電極を留置し、脳波を測定、患者さんの意思をAIなどで解析し、ロボットアームを動かしたりパソコンを操作する。こんな脳とマシンをつなぐBMIの技術が進んでいる。2018年にも世界初の臨床研究をと研究を進める大阪大学の平田雅之教授に、開発までの経緯やこれからの展望などをうかがった。

人間の脳の優秀さに感動、ロボット工学と脳科学を融合したい

───先生はどのような経緯でBMIの研究を始めたのですか。

私はもともと工学部出身で、東大大学院の修士課程を修了したあと自動車メーカーで開発に携わっていたのですが、脳の研究がしたい、医学を学ぼうと大阪大学の医学部の3年に編入し、脳外科へと進みました。

───なぜ脳の研究に興味を持ったのですか。

工学部時代は立体視やロボットを動かすためのメカニズムを研究・開発していたわけなんですが、ロボットを研究すればするほど、「人間はすごい」と思わざるをえなかった。ロボットに人間の真似をさせようと思っても、とても真似ができない。いや人間どころか、単純な生物を模倣しようとしてもそれすらできない。本当に人間はよくできている、特に脳のしくみはすごいと痛感させられましたね。

───それにしても、工学から医学へ移るのは大変だったのではないでしょうか。

今から考えると無謀としか言いようがありません。現役で医学部に入った人からすると7年も遅れているわけですから。
そこで単に医学や脳科学を研究するためというのではなく、自分がそれまで専門に勉強してきた工学分野を応用・活用して、医学と工学の融合領域を研究しようと考えました。違う領域の専門分野を研究している人と交わり、融合領域を開拓したいという思いもありましたね。

───実際に手術の訓練などもなさったのでしょう?

もちろんです。脳外科の専門医だけでなく、脳血管内治療専門医、てんかん専門医などの資格も持っています。
臨床医として脳外科の手術をするとなると、手術の前に、脳のどこにどのような機能があるのか、脳活動について詳しく調べなければなりません。手術したはいいけれど、言葉が出なくなったり、手が動かなくなったりすると大変ですから。それで、脳のある部位を電気刺激して言葉を発することができないとそこが言語野、手が動かなくなったりするとここが運動野というふうに、手術する前に脳機能のマップを作るんです。言語中枢の位置など、人によって違いがあるんですよ。こうした臨床現場で蓄積された脳機能に関する経験が、今のBMIの究につながっています。

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