───瀬原先生の研究室では、学生にどんな指導をしているのですか。
学生にはあまり細かい指導はしないようにしています。なにをしたいか、どうやったらいいのか、自分で決めなさいと。そうした指導方法だと、最初の2年間くらいは学生はあまり成果も上がらず苦労するみたいです。でも、あるとき、ブレークするんです。それまで、やる気がないように見えてぼんやりしていた学生が、そのときから朝から夜まで研究に没頭するようになる。そうした姿を見ると、私の教育方針は間違っていなかったと、とてもうれしく思います。
そういうときには、私の方から「研究どうなった?」って声をかけて、がんがんやらせるようにします。研究に対する高揚感を大事にして結果が出るようにし、成功体験を味わってもらうことが必要だと思っています。
───中高校生にメッセージがありましたら。
自分が「これが大切」というものを見つけたり感じたりしたら、それを大事にしてほしいですね。それは具体的な形をとらないかもしれないし「どうして?」という疑問の形をとることもあるかもしれません。若い人の中には、人生のずっと遠く、たとえば退職してからの人生を考えて行動するような人もいる(笑)。でも、それだとつまらないですよね。いま興味のあること、知りたいことに向かっていくことで見えてくるもの、開けてくるものがあるはずです。
それと、他人に必要以上に影響されないことですね。自分の世界を持ってほしい。私は自分が協調性がないとは思わないけれど、子どものころから自分だけの世界を持つ楽しみを知っていました。他人が持っていないチョウの採集に夢中になったのも、自分の世界を大切にしたかったからだと思います。これは今の中高校生にとっても、大事なことだと思う。大人や友達がなんと言おうと、自分の価値観を大切に、長所を伸ばしていってほしいですね。
(2010年5月26日取材)