公益財団法人テルモ生命科学振興財団

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中高生と“いのちの不思議”を考える─生命科学DOKIDOKI研究室

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中高校生が第一線の研究者を訪問
「これから研究の話をしよう」

第20回
細胞に毛が生えているってホント!?
生命誕生と進化の鍵を握るミクロの毛

序章 自己紹介

稲葉
今日はようこそいらっしゃいました。まず皆さんの自己紹介をお願いします。
鈴木
静岡県立下田高校2年の鈴木怜(すずきれい)です。好きな科目は化学で、将来は医療系の仕事に就きたいです。先生の研究現場を拝見し、自身の進路に役立てられたらと思い来ました。よろしくお願いします。
山田
山田悠生(やまだゆうき)です。好きな科目は数学と物理で、将来の夢は鉄道会社に就職することです。今日は先日いただいた本を読み、身近なこのセンターでどんな研究が行われているのか知ることができると楽しみにしていました。
榎本
榎本悠吾(えのもとゆうご)です。好きな科目は生物。将来の夢はまだ決まっていませんが、農学部へ行って生物関連の勉強ができればと思っています。よろしくお願いします。
稲葉
初めまして、筑波大学下田臨海実験センターの稲葉です。茨城県の筑波にもよく行きますが、現在は下田在住の下田市民です。
僕は1962年生まれで、今年61歳になります。出身は山梨県南部町。子どものころは毎日川へ行ったり、山で昆虫を追いかけたり、自然と遊ぶことが大好きでした。まあ、それしかないというか、町に店が1軒しかないようなところでしたからね。だから、科学する心は普段の遊びの中で育まれたという感じです。
僕も高校2年のときは進路がまったく決まっていませんでした。静岡大学理学部生物学科に進学したのですが、なぜ静岡大学へ行ったかというと、南部町は静岡県に接していて、甲府より富士宮や富士に行くほうが近く、静岡は昔からなじみ深いところだったこと。あと、人体や解剖、医学に興味を持っていて、何となく医学部に行きたいと思っていたのですが、共通一次試験(現・大学入学共通テスト)が全然駄目。かなり落ち込んでいたら、高校の先生が「基礎医学をやるのだったら生物も同じだよ」とアドバイスしてくれました。ただ生物の成績はすごく悪かった。物理と数学、化学、英語が得意で、覚えることの多い生物は苦手。何も勉強していなかったので、生物学科へ行ってから苦労しましたね。
大学院は東京へ。ずっと自然の中で暮らしていたのに、いきなり東京のど真ん中に来て、少々、気分が悪くなりました。一種のカルチャーショックです。その後、東京大学理学部の助手になったのですが、勤務先は神奈川県三浦市の三崎。三浦半島にここと同じような施設(三崎臨海実験所)があります。それからアメリカでの在外研究員、東北大学の浅虫海洋生物学教育研究センターを経て、2004年にここ下田に来ました。
下田が一番長くなっていますが、運命というか、山梨で海なんかまったく知らずに育ったのに、海の近くにある静岡大学に進学し、職を得てからはすべて海のそばで研究することになりました。生命は海から生まれ、いろいろと進化してきたので、生命を理解するには海の生き物を理解することがすごく大事だと思っています。

自己紹介

  • 山梨県南部町生まれ(1962年)
  • 山梨県栄小学校・南部中学校・身延高校
  • 静岡大学・理学部・生物学科(1981年)
  • 東京大学・理学系研究科・大学院(1985年)東京大学・理学部・助手(1990年)
  • アメリカ・文部省・在外研究員(1996年)東北大学・理学部・助教授(1998年)
  • 筑波大学・生物学系・教授(2004年)

研究室訪問に際し、参加者の皆さんには稲葉先生の著書『毛 生命と進化の立役者』(光文社新書)を事前に読んでいただきました。

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