公益財団法人テルモ生命科学振興財団

中高生と“いのちの不思議”を考える─生命科学DOKIDOKI研究室

第16回

人工知能(AI)と脳科学

人工知能(AI)の話題が、毎日のように新聞やテレビのニュース欄をにぎわしている。人工知能の進化には、脳の神経ネットワークの研究も大いに寄与しているのだという。沖縄科学技術大学院大学(OIST)の銅谷賢治教授は、脳科学と人工知能の融合をテーマに、ロボットや数理モデルを使って人間や動物の意思決定のメカニズムに迫る工学的研究と、それが実際の生きた脳でどのような神経回路で行われているかを実証する生物学的研究の両面で大きな成果を上げてきた。人工知能はこの先どこまで賢くなるんだろう? この分野の研究に携わるにはどのようなスキルが必要なのだろう? 銅谷先生にうかがった。

お話をうかがった先生

沖縄科学技術大学院大学 神経計算ユニット 教授

銅谷 賢治先生

(どうや・けんじ)
東京大学工学部卒。86年、修士課程修了後、東京大学工学部助手に就任。91年博士号取得(工学)。米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校でロブスターの神経回路を研究。その後、ソーク研究所のセジュノスキー教授の研究室で、鳥が歌を学習する際の神経ネットワークのモデル化などに取り組む。94 年帰国。国際電気通信基礎技術研究所(ATR)主任研究員として行動を自ら学習するロボットの開発と、脳の学習の仕組みを探究。2004 年より沖縄科学技術大学院大学(OIST)先行研究代表研究者。11年OIST開学に伴い、神経計算ユニット教授。16年より新学術領域研究「人工知能と脳科学の対照と融合」代表。趣味はトライアスロン。

人工知能がトップクラスの棋士を打ち負かす

あのねリカ子さん、いま、ぼくたちの間で将棋がブームなんだ。

へえ、ケンタ君が将棋をさしている姿ってこれまで見たことがないけれど、いつから始めたの? そうか、わかった! 天才将棋士・藤井聡太君の影響なのね、きっと。

その通り! こう見えても僕、将棋の才能がありそうなんだ。

それが本当ならすごいけど、ちょっと信用できないニャン。

ニュースで見たんだけど、なんでも藤井君は人工知能を搭載した将棋ソフトをうまく活用して強くなったんだって。ケンタ君もやってみたら?
そういえば、将棋でも囲碁でも、世界のトップクラスの棋士が人工知能と勝負して負けたって話が話題になったことがあるし、人工知能ってホント、すごいわよね。

えっ、人間よりも人工知能の方が賢いってことなの? いったい、その人工知能ってどんなものなのか、リカ子さん、説明してよ。

記憶や学習など、私たち人間の脳と同じような知的活動をロボットやコンピュータに持たせることで、スマホの音声検索や会話、自動翻訳とか、ホテルでロボットが接客するとか、これまで考えられなかったようなことがいろいろできるというので、いま大きな話題になっていることは知っているけど、詳しいことはさっぱりわからないわ。

こういうときこそ、フクロウ博士の出番だニャン。

なるほど、いま注目されている人工知能が気になるというわけなんじゃな。それならこの分野に早くから取り組んでこられた、沖縄科学技術大学院大学(OIST)神経計算ユニットの銅谷賢治教授をお訪ねしていろいろお話を聞いてくるとよいじゃろう。

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