中高校生が第一線の研究者を訪問
「これから研究の話をしよう」

第1回
幼いころの夢を実現していく
藻類研究者の歩む道

第5章 貫き通したものが真実になる

藤原
私が学生の頃どのような思いを持っていたかお話しします。大学生の時に中学校へ教育実習に行ったんです。そこで、中学校3年生のクラスに行って、みんなに1人ずつ夢を言ってもらったんですね。今日、みんながここに来るということで、その紙を久しぶりに取り出してきました。もう何十年も前のもので、こんなボロボロになっていますが、引き出しの中に、どうしても捨てられなくて、取っておいたんです。

教育実習で藤原先生が当時の生徒からもらった感想

これらは実習終了後に生徒からもらった感想です。「毎日どんなことをなせているか、すごく分かった。面白かったです」「今日の授業は大変良かった」といった、頑張ってくれというようなメッセージもいっぱいもらっていて、これを見ると、あの頃のことを思い出します。生意気なっていうか、元気な感じで書いてくれていますね。「声がキンキンした。いきなり当てるな」とか、いろいろ面白い感想も。
一同
(笑い)
米山
「いろんな薬を作る先生になったほうがいいと思いました」という感想もありますね。
藤原
本当にいい子たちでした。このとき私は多分「これからの進路に迷ってる」ということを言ったのかもしれませんね。「先生にもなりたい、でも研究も続けたいし」という話をしたと思います。
このとき私は21歳の5月だったのですが、私が中学校3年生の彼ら、彼女らに言ったのは、「貫き通せば真実になる」ということ。今は、”Dreams come true.”とか言ったほうが分かりやすいかもしれませんね。当時、こんなことをよく生意気にも言ったなと思うのですが、今考えてみると、私がドクターコースに進学したときにこの言葉が実現されていたことに、今見て、ちょっとびっくりしています。
私が本当に言いたいことは、「みんなに楽しんでほしい。楽しく実験をやってほしい。」ということです。この言葉の意味は、みんながもうちょっと歳を取ってきて、大学生くらいになってくれば、分かってくると思います。大学生になると、進学や就職などの問題に突き当たることがあると思います。でも私はこう思っています。「真実があるのではない。貫き通したことが真実になるんだ」と。
一同
(周りを見ながら頷く)
藤原
皆さんのクラブ、本当にいいですね。中学校と高校の生徒たちが一緒に部活動を行うというのは、なかなかないことだから。皆さんほど高度な研究が中学生からできるのはすごいですね。これまでも、小学生への出前出張授業や、いろいろな大学の研究者へ訪問を行なっていて、私からみんなには何も話すことはないような気がします。

生物部の活動が紹介された新聞記事を藤原先生に紹介

土屋
いえいえ。そんなことはないです。
藤原
中学生から高校の2年生くらいまでは、やりたいことに集中して楽しめる黄金の日々だと思います。私の場合もそうでした。一つのことをずっと考え続けること、それは大人になり、研究者になっても同じです。夢の中でも考え続けていて、寝言で起きるときもありますよ。考えごとを苦しくならない程度にちょっと頭の中に置いておくと、そのうちいつかポッとアイデアがやってきます。それから、人に話すことでみんながアイデアをくれたり、いいアイデアを考えつくことができるから、そういうコミュニケーションは重要だと思います。ぜひ楽しんで、皆さんこのまま進んでいってください。
一同
ありがとうございます。

対談を終えて。生物部顧問の橋本悟先生も加わって、「はい、チーズ!」

対談の後に藤原先生の研究室を訪問したときの様子

顧問の橋本悟先生より対談を終えての感想

今回、藤原祥子先生より研究内容のご紹介や、ご自身の生い立ちなどについてお伺いしました。有意義な時間は、あっという間に過ぎ去りましたが、生徒一人一人の心に深く染み込んだようです。藤原先生には、心より感謝申し上げます。

( 取材・構成 株式会社リバネス 井上 剛史 )