中高生と“いのちの不思議”を考える─生命科学DOKIDOKI研究室

カイコガの匂い源探索行動を電子回路に置き換える

ところで、オスのカイコガはメスのフェロモンをどのようにキャッチするんだろう? カイコガの匂いを探す行動をコントロールしている神経や脳のしくみを調べるため、神﨑研究室では、カイコガの脳を構成する神経細胞(ニューロン)のひとつひとつの形や働きを探ることにした。特殊な顕微鏡やニューロンの働きを調べる装置を使って、光や匂いなどの刺激に対してどんな反応をするかや、ニューロンの形を調べるのだ。さらには、遺伝子操作によって特定のニューロンの働きを変えるとどうなるのかなどをチェックしていく。
「フェロモンの刺激によって反応する神経回路が解明されてきたので、今度はそのしくみをコンピュータのプログラムや電子回路に置き換えて、そこで作られる信号で動くロボットを作り、実際のカイコガの動きとくらべてみたのです」
そのロボットがこれ。フェロモンを感知するセンサーには、本物のカイコガの触角の先端と基部に電線を入れたものを活用することにした。
「このロボットも、実際のカイコガが匂いを突き止めるときと同じような動きを示しました」

カイコガはこんな動きで匂い源を見つける!

オスのカイコガの匂い源探索行動
匂いは不連続な塊になって空中を浮遊している。カイコガはその匂いの塊にあたると直進し、塊がなくなると小さなターンから大きなターンへとジグザグに動き、その後に回転する。再び匂いの塊にあたるとはじめからこのパターンが繰り返され、匂い源に到達する。

カイコガの本物の触角をセンサーにしたんだって!

カイコガと同じような匂いの探索方法によって匂いを探すロボット。左のロボットには匂いセンサーとしてカイコガの本物の触角を取り付けた。右側のロボットでは、イオンのセンサーを匂いのセンサーとして使っている。この場合は匂いのかわりに風上でイオンを匂いに見立てて発生させた。(写真左は、東京大学情報理工学系研究科下山研究室との共同研究)

カイコガの脳の信号でフェロモンの匂いを追跡するロボット

カイコガの脳の信号でフェロモンの匂いを追跡するロボット。カイコガの脳から取り出した神経信号で制御される昆虫サイボーグ。新聞やテレビで放送され話題になっている。

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