中高生と“いのちの不思議”を考える─生命科学DOKIDOKI研究室

昆虫パワーを活用した衝突回避車の研究も

昆虫操縦型ロボットや、昆虫の脳を再現するロボットの開発はどんな意味を持っているのだろう?
「地球上の生物の中で、最も種類数が多いのが昆虫で、全生物種の70%以上を占めるといわれています。昆虫は、からだは小さいけれど、飛びながら障害物をよけたり、飛んでいる虫を捕まえたり、あるいは匂いを感知して遠くにいる仲間を探しだしたり、驚くべき能力を持っています。しかも、その高い能力を実現するための脳は、ヒトの脳などに比べると非常にシンプルにできています。昆虫の優れた能力の秘密を探ることで、産業界をはじめ、さまざまな分野への貢献が期待できるんです」
たとえば、カイコガのフェロモンを感知するとそれを探し出す高い能力を活かして、フェロモンに反応する細胞に麻薬を感知するセンサーを遺伝子操作技術によって入れてあげれば、麻薬を検査するカイコガがつくれる可能性があるという。成田空港などで、麻薬犬ならぬ麻薬カイコガが麻薬を密輸する人を発見!なんて光景が将来見られるかもしれない。また、大気中の有害化学物質をいち早く検知するための研究も、現在いろいろな研究機関が取り組んでいるんだとか。
神﨑研究室では、匂い以外に、昆虫の持っている障害物を避けて飛ぶ能力を車の衝突回避機構に取り入れようと、国内自動車メーカーと共同研究を行っている。
「衝突回避のために何百万画素のカメラをセンサーとして車に搭載するやりかたでは、画像処理が大変だし、コストもかかりすぎますね。昆虫は複眼や触角を利用して巧みに障害物を回避します。その衝突回避能力を理解して応用できれば、ずいぶん安いコストで優れたセンサーが開発できると期待されているのです」

PAGE TOPへ
ALUSES mail