中高生と“いのちの不思議”を考える─生命科学DOKIDOKI研究室

体細胞からでもクローン動物ができる

このころ、生命科学分野では画期的な研究が進んでいた。それはイギリスの研究グループによるクローン羊ドリーの誕生だった。簡単にいえば、ドリーは精子と卵子が受精して誕生した子羊ではなく、1匹の羊の体細胞から取り出した核を、核を除去した卵子に移植して生まれた子羊である。
「つまり、この技術を使えば精子は必要なく、皮膚、筋肉、骨髄、臓器など、どの器官からでも、損傷を受けていないDNAを持った細胞さえ手に入れば、その核をマンモスに一番近い種であるゾウの卵子に注入することで、マンモスの赤ちゃんをつくることが可能になったのです」

現在のゾウの力をかりて、マンモスを復活させる

現在のゾウの力をかりて、マンモスを復活させる

入谷教授はこの発生工学の画期的な技術を用いたマンモス復活計画を進めるため、再びシベリアに足を運び、2002年8月中旬、再びヤクーツクの北1300kmのマクスノーハ河地域を調査した。
「マンモスハンターというのがロシアにはいるんです。マンモスの牙は象牙の中でも珍重されとても高く取引されるので、一攫千金を夢見てマンモスを探しているわけです。マンモスハンターから情報が入り、その情報に基づいて河の岸部を発掘するとマンモスの右前肢と左後肢が見つかりました」
いよいよ、マンモスのからだの一部を手に入れることができた。これを日本に持ち帰り、DNAが精製できればマンモス復活計画は大きく前進する。プロジェクトのメンバーの夢はふくらんだ。

現在のゾウの力をかりて、マンモスを復活させる

2002年8月マクスノーハ河岸でマンモスの脚の発掘

マンモスの発掘調査について説明する入谷教授(2003年近畿大学にて)

マンモスの発掘調査について説明する入谷教授(2003年近畿大学にて)

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