中高生と“いのちの不思議”を考える─生命科学DOKIDOKI研究室

試行錯誤を繰り返し、大量培養に成功

鈴木さんは、東京大学農学部学部に在籍中からミドリムシの研究を行っていて、2005年に(株)ユーグレナの創業に携わった。
「ミドリムシの研究は、どういう進化のプロセスを辿ってきたのか、その遺伝面での研究、鞭毛で動くしくみや細胞をねじりながら動くメカニズムの研究、光応答のセンサーの研究、代謝や物質の合成・分解といった生化学面での研究など、多彩なアプローチがあります。私は、CO2固定など環境技術への応用の研究をしながら、ミドリムシの持っている食糧問題や地球温暖化問題の解決の可能性に魅力を感じて、会社の創業に参加したのです」

事業化にあたっての課題は、ミドリムシの大量培養だったという。それまで大阪府立大学などで500リットル規模の培養装置が考案されてきたが、屋外で1トンを超えるミドリムシの培養に成功した例に関する報告はなかった。培養する際の撹拌(かくはん)技術についての知見等が少なく、水が流れなくなったり、全体に栄養がいきわたらずに育たなくなってしまうなど、クリアすべき課題は多かった。
「まさに、トライ&エラーの連続でした。私たちは大阪府立大学など外部の研究機関と共同研究を進めながら、2005年12月、培養に最適な条件が整っている石垣島で、世界で初めて食品利用を目的とした140トンスケールの屋外での大量培養に成功したのです。石垣島にはミドリムシの生育に欠かせないすんだ空気、きれいな水、そしてなによりもさんさんと降り注ぐ太陽光という条件がそろっていたのです」

培養されたミドリムシがパウダーになるまで

大量培養されたミドリムシは、その後セパレーター(遠心分離機)にかけて洗浄、分離、濃縮されていく。そして品質チェックのための分析が行われ、噴霧乾燥されてパウダーができ上がるのだ。

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