中高生と“いのちの不思議”を考える─生命科学DOKIDOKI研究室

インターネットを生命のモデルに

最近先生はインターネットの世界に生命を探る可能性を見出している。
「これまでの人工生命のモデルは、あまりに『小さいモデル』でした。インターネットという人工的なシステムは巨大であり、その中に表出される複雑さというのは、生命の大きなモデルになりうると考えています。たとえば私たちが気づかない記憶がネットの中に保存されてもいる。とりたてて特別な事件があるわけでもないのに、あるとき突然、TwitterやFacebookなどで話題が自発的にバーストすることがあります。それは内因性のものなのか。臨界点があるのか。どこかに自律的なパターンが蓄えられているのか? ネットに集団的な記憶や自発的な時間が発生しているのなら、インターネットをモデルとして生命について考えていく方法もあると思います」

インターネットを生命のモデルと考えることもできるんだって!

先生の研究活動のごく一部を紹介したが、生命をめぐる池上先生のアプローチは実に独創的で多彩だ。
「科学者のやることは真実を見つけることだとみなさん考えていると思います。でも1台飛んだロケットの背後には99台の失敗したロケットがある。ベイトソンが、科学とは、一生懸命に研究して、こちらの先には何もなかったという札を立てることだという意味のことを言いましたが、自分がどういう世界に興味があって、どんな分かり方をしたいのかを大切に、これからも自由な発想で既存の科学の枠を超えていきたいですね」

(2012年12月7日取材 2013年2月更新)

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