この人に聞く「生命に関わる仕事っておもしろいですか?」

第25回 インフルエンザウイルスと宿主の相互作用の秘密に迫る 秋田大学大学院医学系研究科 情報制御学・実験治療学講座 今井由美子教授

Profile

今井 由美子(いまい・ゆみこ)
1992年、昭和大学大学院医学系研究科で博士号取得。93年より同大学医学部助手、99年カナダトロント大学 ポスドク、2002年同アソシエイトサイエンティスト。2003年オーストリア分子生物学研究所 (Institute of Molecular Biotechnology; IMBA)アソシエイトサイエンティストを経て2008年より秋田大学現職。

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小中学生の頃から理科、数学など理工系の学科が好きだった今井先生は、同時に夏目漱石を愛読する文学少女でもあった。やがて、子どもの生命と向き合う小児科医への道を選び、さらに現在は、インフルエンザが重症化するメカニズムをウイルスの宿主側から解明する研究に取り組んでいる。「治療につながるような新しい生命現象や疾患機序の解明をめざしたい」と語る今井先生は、どんな研究者人生を歩んできたのだろう。

「小さな冒険者」だった小学生時代

───小さな頃はどんなところで過ごしたのですか。

熊本市の町の中で育ちました。家の近くに大きな結核療養所があって、そこの敷地の中に入って遊んでいました。近所の友達と自転車に乗ってその療養所に行き、病院の中を探検するのです。まるで小さな冒険者になったみたいな気分でした(笑)。家にじっとしているより外で遊ぶのが好きな、スポーツ好きな活発な子でした。
私が子どもの頃、ちょうど町が新しく変わり始めたころで、住宅地がどんどん増えていったことを覚えています。

───小学生の頃好きな学科は?

とくにどの学科が好きということはなく、みんな普通に好きでした。と言っても優等生というわけではなく、成績は普通だったと思います。小学校の頃は、塾には行かなかったけれど、ピアノや習字、水泳といった習い事はいろいろやりました。
当時、多くの家に文学全集が並んでいる時代で、私も本も読むのが好きでしたね。好きな作家は夏目漱石。中でも「坊ちゃん」は感じるところが多かった。漱石はその後も折に触れてよく読み返します。

───中学生になると少し変化がありましたか。

熊本大学の附属中学校で、市内のあちこちの小学校から優秀な生徒が集まってきました。勉強が主体の学校でしたから、自然に小学生の頃よりも勉強するようになりましたね。好きな科目は理科や数学などの理系の学科に興味が湧きました。
ただ、その頃は将来医学部に進学して医者になろうとか、研究者になろうなどとは思ってもいませんでした。
スポーツ好きは変わらず、軟式テニス部に入りました。でも最初のうちは球拾いばかりさせられて、ちょっとつまらなくて、夏休みにラリーのまねごとをしたりしていました。それほど強いほうではありませんでしたが、市の体育大会で4位に入ったのが最高順位です。

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