この人に聞く「生命に関わる仕事っておもしろいですか?」

人への感謝を忘れずに研究活動を続ける

───研究生活の中で、ターニングポイントになった出来事などありますか。

二つばかりあります。一つは、博士課程の頃にアレルギー疾患をこじらせてしまって半年ばかり休んだことがありました。それまでは当たり前のように毎日研究ができていたのに、自分の努力や熱意だけではどうにもならないことが人生の中では起こりうるんだということが分かりました。そのとき、松田先生やラボのほかの先生方などにとてもお世話になりました。それまでは自分で実験しているんだと思っていたけれど、そうではなくて、ほかの方のおかげで実験ができていたのだということに初めて気がついたのです。研究というのは人とのつながりがあってこそできる。人への感謝を忘れないようにしようと痛感しました。
もう一つは、北大で講師のポストに就いたときのことです。それまでは学術振興会特別研究員として研究に従事していましたが、その半年前に長男を出産し、子どもを保育園に預けながらなんとか研究を再開したところでした。私も大変だったけれど、私以上に大変だったのはサポートする周りの人だったのではないかと思います。
実は長男は生まれたときから手術を受けなければならない疾患を持っていたのですが、そのことを知ったうえで採用していただいた。子どもを保育園に預けることになったときも、保育園の園長先生が大変理解のある方で、非常勤の保育士さんを一人増やし、卒園まできちんと面倒を見てくださったのです。息子も何度か入退院を繰り返しましたが、幸運なことに普通に生活できるように健康になりましたし、皆さんに感謝してもしきれません。

───中学・高校生へメッセージをいただけますか。

自分の興味を持ったことを追究してほしいですね。早い段階でもう進路を決めてしまった人もいるでしょうが、私のように文系から理系に進路変更する人もいるでしょうし、いろいろなことに興味を持って、自分がおもしろいと思うことを大事にしてほしいですね。 若いので希望にあふれていることと思います。どうぞその気持ちを持ち続けて、あとで「やっておけばよかった」と後悔することのないよう、失敗を恐れずに、やりたいことに思い切ってチャレンジしてほしいですね。

(2014年7月4日取材)

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