この人に聞く「生命に関わる仕事っておもしろいですか?」

第31回 オスとメスはどのように決まる?性決定メカニズムの不思議に迫る 大北海道大学大学院理学研究院 生物科学部門 准教授 黒岩麻里

Profile

黒岩麻里(くろいわ・あさと)
京都生まれ。1997年名古屋大学農学部卒業。2002年同大学大学院生命農学研究科(応用分子生命科学)にて博士号取得。日本学術振興会特別研究員を経て、2003年北海道大学先端科学技術共同研究センター講師。2005年同大学創生科学共同研究機構講師。2008年同大学大学院理学研究院生物科学部門講師。2009年より現職。2011年染色体学会賞、2013年文部科学大臣表彰若手科学者賞受賞。著書に『消えゆくY染色体と男たちの運命』がある。

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文学部志望だった黒岩先生は、高校2年のとき生物の授業にハマッて進路を理系に変更。子どものころ動物が好きだったこともあり農学部に入学する。性染色体に興味を持って研究を進めるなかでY染色体を持たないトゲネズミに出会い、以来、Y染色体の進化の謎や鳥類の性決定メカニズムの解明に取り組んでいる。

アリや地グモが好きだった子ども時代

───子ども時代から生物が好きだったのですか?
5-6歳頃。向かって右側が先生で、左は妹さん。二人で虫を探したり花を摘んで遊ぶ

5-6歳頃。向かって右側が先生で、左は妹さん。二人で虫を探したり花を摘んで遊ぶ

はい。家ではネコのほかシマリスを飼っていました。小さいころは虫も好きで、アリを捕まえてきては、インスタントコーヒーのビンに入れて観察したり、ダンゴムシと遊んだり、地グモを捕ってきたりしたものです。地グモは、木の根に沿って穴を掘ってストッキングみたいな袋をつくってその中にすんでいるんですが、その袋をそっとひっぱると親指の爪くらいの大きさの地グモが捕まえられる。何匹も捕まえてはケンカさせたりして遊んでいました(笑)。
でも、小学校の高学年になると、普通の女の子と同じように虫が嫌いになって、生物とのかかわりもなくなってしまいました。

───その後、どんなものに興味を持ったのですか。

私の両親は、昭和22年~26年くらいに生まれたいわゆる団塊の世代で、今の若い人はぴんとこないかもしれませんが、両親が若いころは、社会や政治に異議申し立てをする若者たちが学生運動を繰り広げた時期があったのです。両親も国内の差別問題やアパルトヘイトなどに熱心に取り組んでいました。ですから家でも人権教育などはしっかりしていて、そんな両親の影響もあって、成長するにつれ、ジャーナリスティックなことや文系的なことに自然に興味が移っていきました。中学生になると、作家になってみたいなんて夢もあって、有吉佐和子さんや宮本輝さんの小説などをよく読んでいました。

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