公益財団法人テルモ生命科学振興財団

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中高生と“いのちの不思議”を考える─生命科学DOKIDOKI研究室

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思い当たる企業には積極的にコンタクトをとる

———先生が開発した生体イメージングの技術は臨床現場でも使われるのでしょうか。

現状はまだ距離があるのですが、いくつかの撮影システムを臨床用に開発して提案しています。ぼくは臨床の現場にいるわけではないので、現役医者から聞くニーズがやはり参考になります。自分が開発した機械を何かに使えないかと持ちかけると、予想外のシナジーが生まれることがあります。外科の先生から「手術現場で使ってみたい」と言ってくれたり、基礎研究している研究者から撮影システムがほしいと頼まれることもあります。

———レンズメーカーなど企業との連携もありますか?

現在やっているぼくの仕事のうち、かなりの部分は外部企業とリンクしています。シーズを持っているんじゃないか、と、思い当たる企業にはぼくの側から積極的にコンタクトしていています。
あるいは、企業側からも多くの依頼をうけます。光学システムについてのマーケティングからコンサルティング、アプリケーションづくりまでやることもあります。ほとんどの関わりでは、企業からは直接対価としてお金をもらっていません。お金をもらっていないからたくさんの企業とかかわれるわけで、ニコン、キヤノン、オリンパス、ツァイス、ライカ、いずれのレンズメーカーとも良好な関係にありますよ。その中で、技術や情報などで大学や国民にも対価を造っています。

———情報収集は?

インターネットと現場に行くのと両方ですね。ネットを見れば、この分野で一番のところがどこかはすぐわかります。その企業に電話を入れてコンタクトを取ったり、あるいは技術展示会みたいなところに出かけたりして、Face2Faceも大事にします。
一時期「年に1000枚名刺を配る」という目標を決めていたんです。結構大変な数値ですよ。いろんなところにひたすら行って議論をします。工場の中や開発現場など現場の人とも可能なかぎり会って自分の知らないさまざまなテクノロジーを見つけたいんです。現在日本で起きているテクノロジーについては、けっこう詳しい自信がありますが、まだまだ新しい領域にも進出したいですね。

———ほかの研究者との共同研究なども多いのですか?

ほかのラボでイメージングがうまくいかないと聞くと、自分の出番かなと張り切ってしまうんです。現場で他ラボの機械をつくってあげたり、調節や改造でうまく画像が出るようにしたり、ソリューション全体をひきうけることもありますよ。また、他ラボの人をぼくのラボのなかに招いて、僕らの機材で実験してもらうこともあります。学生でも、どこの大学の人でも基本大歓迎。「好きなようにどうぞ」というのがぼくの主義です。顕微鏡を使いに遠くからやってきて、ソファとかで寝とまりして、撮影が終わると帰っていく人がいます。ぼくにとってみると、ぼくがつくった機械を使ってくれるのでハッピーなんです。