公益財団法人テルモ生命科学振興財団

中高生と“いのちの不思議”を考える─生命科学DOKIDOKI研究室

一度きりしかない人生なのだから、後悔しない生き方を

———先生は研究室を主宰されて以降も、抗体による腸内細菌機構の解明に関して数々の発見をなさっていますが、研究をする上で大事にしてきたことは?

どのプロジェクトをやっていても、1%でも可能性があったら絶対に途中でやめなかった。まわりのみんながそれは無理と言っても、あきらめない。納得がいって終わるということが大事なんです。「これはまだ今の段階では無理だな」と思って途中でやめても、納得した上で途中で終わった実験って、忘れずに頭に残っているもので、次の研究につながっていきます。そういう意味でも、途中でやめてもそれは決して失敗ではない。将来きっとどこかにつながる。もっともそれって、ある程度長く生きないとわからないことなのですが。

———研究のおもしろさ、やりがいとは?

自分が知りたいと思ったことを突き詰める。どこまでやっても誰にも責められない。それが魅力でしょうか。企業だと、ここでプロジェクトが終りとなるとやめないといけないけれど、研究者は──もちろんそのための研究資金は、助成金を獲得するなどどこかから取ってこないといけませんが──自分の納得がいくまで研究を続けられる。やっぱり貴族だなと思います。つらいこともたくさんありますが、貴族の生活を守るためなんだからやらなければいけません。
だからいやなことをやるときは自分をだましています。実験をしているときは、好きなことをやっているので楽しい楽しいで何もつらくない。でも、書類申請とか事務仕事をやっていてイヤになるときは、「この作業、楽しい!」って自分をだますんです。

———それって勉強にも通用しそうですね。

そう。だから若い人には受験勉強もそれですよ、と言いたい。受験勉強でつらいときは、楽しいねーって自分をだまして何とかクリアするんですよ。自分をだまして、終わったときにはきっと「これだけできた」ってすごい充実感があると思います。
もうひとつ言いたいのは、諦めないこと。私はそこで人生が2つに分かれるような気がするのですが、諦めちゃう人は結局逃げるしかないから、どんどん自分の行き先が狭まっていく。それに対して「何くそ」と思って自分のやりたいことを進んでいく人は、その先が扇状に広がるのです。その選択を間違えないで、がんばれるところはがんばってほしい。
いつも言うのは、一度きりしかない人生なのだから、後悔しない生き方をしてほしいということ。仮に2つの選択肢があったら、つらくても自分がやりたいほうを選択すると、あとあと後悔しないと思います。

(2019年3月19日更新)

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