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中高生と“いのちの不思議”を考える─生命科学DOKIDOKI研究室

生物の形がつくられる原理を応用数学と実験的検証で解き明かす 九州大学大学院医学研究院 生体制御学講座 系統解剖学分野 教授 三浦岳

生物の形がつくられる原理を、応用数学を使って解明しようと研究しているのが三浦岳先生。中学生時代はプログラミングに熱中し、大学は医学部に進んだが、生物の形の美しさに魅了されて基礎研究の世界へ。生物の形づくりの原理を数式で表し、実際に培養することでその検証を行う研究スタイルを確立。現在は数学を仲立ちにして異分野と融合した研究にも積極的に取り組んでいる。

profile

三浦 岳(みうら・たかし)
1971年宮城県生まれ。96年京都大学医学部卒業。2000年同大学大学院医学研究科博士課程修了。同年同大学大学院医学研究科助手。02-04年日本学術振興会海外特別研究員(Oxford 大学研究員)。08年京都大学大学院医学研究科准教授。13年より現職。専攻は、発生生物学、数理生物学。

子供のころからプログラミングに熱中

———子供時代はどちらで過ごされましたか?

生まれは仙台ですが、1歳ぐらいのときに内科医で大学の医学部の教授だった父の異動にともなって秋田県に移り、それから高校の18歳まではずっと秋田です。

———子供時代の思い出を教えてください。

田んぼでドジョウを捕まえたり、スポーツ少年団に入ってラグビーをしたりしていました。

———小さいころからラグビーとは珍しいですね。

秋田市は小中学校でもラグビーの部活があるほか、子供たちを対象にしたクラブチームがあるなど、ラグビーに力を入れていたんです。私も小学校時代から秋田市エコー少年ラグビークラブというチームに入っていました。のちに有名な選手になった子も所属したりしていて、けっこう人材を輩出しているクラブなんですよ。

秋田市エコー少年ラグビークラブでラグビーに打ち込んだ子供時代

———ポジションは?

フルバックでした。今は体型が完全にフッカーになっていますが(笑)。当時は身長が低くて今と違って体重もなかったので、コンタクトスポーツはなかなかきついと感じるようになって、中学の途中でラグビーを辞め弓道を始めました。

———スポーツ以外では?

母親が応用数学者で、秋田県立脳血管研究センター(現:秋田県立循環器・脳脊髄センター)で放射線を使った脳血流の計測機器の開発に携わっていました。職場で使わなくなった手回し計算機が家に置いてあったし、要らなくなった基板みたいなものがゴロゴロ転がっていました。パンチカードや記録用紙テープなどもあって、子供のころのよい遊び道具でしたね。小6のころ、パソコンも買ってもらいました。

———パソコンの黎明期のころですね。

初めて買ってもらったのが、日立の「BASIC MASTER LEVEL3 MARKⅡ(MB‐6891)」です。『I/O(アイオー)』とか『BASICマガジン』などの雑誌にソースコードが載っていて、ゲームやりたさにそれを一生懸命打ち込んだりしていました。それでは飽き足らず、自分でもプログラミングを始めました。あまり資料がなく、参考書を1、2冊買ってきて、それと首っ引きで必死にやったものです。

———小6ですでにプログラミングですか!?

小6か中1か、それくらいですね。その後、いろいろな種類のパソコンがどんどん登場し、子供時代に使っていたものはほぼ生き残ってないので、当時覚えた言語知識はあまり役に立っていませんが、コーディングなどが抵抗なくできるようになったのは、あのころのおかげだと思います。

———どんなプログラムを作っていたのでしょう?

大半がゲームです。アーケードゲーム的なものを作ろうとしたんだけど、当時のBASIC MASTERではスペックが足りないんです。カラー表示を8ピクセルごとにしか指定できないので、3色を速いスピードで切り替えてフル解像度のカラーに見えるようにしようとか、自分なりに工夫して遊んでいました。

———高校生活はいかがでしたか?

通っていた秋田高校は1学年400人ぐらいの規模で、成績上位だと東大や京大にも行くけれど、下のほうは就職組もいたし、けっこうバラエティーがあった。学年対抗の球技大会があるなどイベントが盛んで、受験産業に毒されずに過ごせましたね。

———バンカラな気風も残っていたんですか?

入学直後に高校の応援歌を覚えさせられるんです。応援団が毎日放課後、竹刀を持ってやってきて、強制的に歌わせられる…、あれは怖かったなぁ。

———中学時代に始めた弓道は、高校でも続けたのですか。

弓道は体格が関係ないので、楽しかったですね。的場が軟式野球場の一角にあって、ときどきファールボールが飛び込んでくるんです。冬もずっと練習していたんですけど、弓道はそれほど運動量が多いスポーツではないので、雪が降ったりすると実に寒い。
垜(あずち)といって、的をかけるために傾斜をつけて砂を盛って水をまいて固めるのですが、寒いから凍って、カーンと矢が跳ね返されてしまうんです。手元が狂って矢が雪面に刺さって行方不明になって、春になって雪が解けてようやく回収できるとか…。山からシカなどの野生動物がおりてくるのを、弓矢を持って追い回したこともあります。

試合中(左から2人目)