中高生と“いのちの不思議”を考える─生命科学DOKIDOKI研究室

ラットの胎仔の脳の摘出にドキドキ

B班の様子は、写真とともに追ってみよう。

(1)脳の働きの基本レクチャー
脳の働きの基本レクチャー

まずは脳の働きの基本となる神経細胞の働きや、記憶のしくみ、脳と心の関係、遺伝子改変マウスを使っての脳機能研究の実際などを、ビデオとスライドを使った講義で学ぶ。


(2)マウスの脳をじっくり観察
マウスの脳をじっくり観察

固定液で固めたマウスの脳をピンセットで解剖、顕微鏡で観察する実習。マウスの脳は小さい! こんなに小さくても基本パーツは人間と同じなんだって。記憶をつかさどる海馬もちゃんとある。マウスの場合、ニオイの情報を処理する嗅球はけっこう大きな領域を占めていることもわかった。

(3)遺伝子改変マウスの運動能力と行動を調べる
動物実験施設で、遺伝子を欠損させて脳の一部機能を働かなくしたマウスと、正常なマウスの運動脳力の違いを調べる実習。

動物実験施設で、遺伝子を欠損させて脳の一部機能を働かないようにしたマウスと、正常なマウスの運動脳力の違いを調べる実習。一本橋をちゃんと渡れるか、回転速度を上げて何秒で落ちるのかを測った。

マウスの行動解析を行う部屋

続いてマウスの行動解析を行う部屋へ。明暗をコントロールする箱に入れたり、音や電気ショックなどの刺激を与えたりすることで、どんな行動を取るかを観察する。マウスの動きは、コンピューターで解析するんだって。


(4)神経細胞の培養プロセスを知る
博士課程に所属する大学院生が、ラットの神経細胞の培養を行う作業をすぐそばで見学

午後は、博士課程に所属する大学院生が、ラットの神経細胞の培養を行う作業をすぐそばで見学した。まず安楽死させたラットの子宮から、慎重に胎仔を取り出し、氷で冷やしたPBS(リン酸緩衝生理食塩水)につける。その後、ピンセット2本で器用に脳を切り出していく。胎仔の頭蓋骨は柔らかいので、「プリンをすくうように」取り出せるのだそうだ。その後、顕微鏡を見ながら海馬を切り分けていく。この三日月のようなものが海馬だ。

“いのち”を取り扱う研究を前にみんな真剣そのもの

切り出した海馬を集めて酵素処理を施し、組織を分散させたあと、バラバラになった細胞が1ミリリットルあたり何個あるのかを、顕微鏡を見ながら数えた。この細胞をプラスチックの皿に入れ、培養する。1週間も経つと、軸索を伸ばしてネットワークをつくっていく様子が観察できるんだそうだ。5年間、毎週この一連の作業を行っているという話を聞いて、脳の最先端の研究も、地道な毎日の作業の積み重ねだと実感。

PCに映し出されているのは、蛍光を発するタンパクの遺伝子を導入した神経細胞の画像。緑や赤に光っている。盛りだくさんの実習内容に、わからなかったことも多かったけれど、研究生活がなんとなく近づいてきたような感じと、高校生たちは語ってくれた。

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