中高生と“いのちの不思議”を考える─生命科学DOKIDOKI研究室

他人と違う方法で考え、行動する癖をつけよう

生田先生は、学生に建物の屋上から生卵を落としても割れない工夫を競わせる「タマゴ落としコンテスト」をする教授としても知られている。
「研究者に必要なのは、既存のものを改良するのではなく、新しいコンセプトを生みだす力です。そのためには、他人と違う方法で考える癖をつけることが大切だと思います。もともと私たちは一人ひとり、顔も違えば、脳の中も違うんです。この違いをどう生かしていくか、という考え方が大事。とかく日本人は、他人と同じようにものを考え、行動しないと、いじめられたり、のけもの扱いされたりすることがある。でも、そんな同調を強いる社会は日本だけであることが、欧米にホームステイなどするとよくわかりますよ。ノーベル賞を取るような、世界があっと驚くような発明・発見をする人は、最初は変な人くらいに思われていて、でも、自分のやりかたを貫いた人なんだと思う」

日本の教育や研究の現場では、同じような学歴や経歴を持った人が、同じ研究室で、同じような研究をすることが多いと言われている。
「でも、ぼくがいまいる東大のシステム情報学専攻(学部は計数工学科)は、多様なキャリアの研究者が集まってきているところで、とても魅力的な研究環境なんですよ。出身大学も違うし、同じ大学でも建築学科や、医学部など出身学科が違う。研究対象もバラバラで、何をやってもいいということになっていて、ぼくの隣の先生などは自動的に作曲する研究をしている。こんな自由な環境でこそ、新しい成果が出てくると思うのです」

先生が中高校生にアドバイスをするのは、専攻分野をあまり狭く限定しないほうがいいということ。
「高校生の受験勉強で学んだことなど、そう言っちゃ悪いけど、大学の研究にはあまり役に立たないんだ。むしろ、大学に入ってからやることが決める方が、さまざまな分野のことを知りながら選択できるのでいいと思うな。ぼくの場合は小さいときからロボットをやりたいと決めていたけれど、こういうのはあまり参考にしなくていいですよ(笑)」

(2011年4月28日取材)

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