中高生と“いのちの不思議”を考える─生命科学DOKIDOKI研究室

“細胞分裂の回数券”テロメア

細胞の活動の面から見たときに、老化や寿命に深く関わっているものの一つとして注目されているのが「テロメア」だ。テロメアは、哺乳類などの細胞の染色体の末端にあり、タンンパク質とDNAからなる。

テロメア

「テロメアは細胞分裂のたびに短くなる性質があり、テロメアが一定の長さ以下になると細胞は分裂を停止してしまいます。ヒトの体細胞は無限に分裂できるわけではなく、培養しても50~70回分裂すると、それ以上分裂することはできなくなるのです。テロメアはこのため、“細胞分裂の回数券”ともいわれています」と、白澤先生は話してくれた。

しかし、体の組織のすべての細胞のテロメアが、ある時期に一斉に短くなって細胞分裂ができなくなって死を迎えるわけではない。ただ、とくに損傷と修復を繰り返す血管内皮細胞のテロメアなどは、他の部位よりもはやく短くなって組織が機能不全に陥り、動脈硬化などを起こすことがあるという。
「でも、こうしたテロメアの長さだけで老化や寿命が決まってしまうわけではありません。テロメアの短縮が細胞の老化や寿命に関係することは間違いありませんが、外部からのストレスやゲノムの損傷などから老化が発生し、テロメアの短縮以外にも細胞老化の原因になっていると考えられています」

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