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中高生と“いのちの不思議”を考える─生命科学DOKIDOKI研究室

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将来は脳と腸内環境の関係も探求したい

腸内細菌のメタゲノム解析で、大きな役割を果たすのが情報解析技術だ。この例に限らず、脳の神経細胞ネットワークの解析など、生命科学の新しい地平を切り開くうえで、バイオインフォマティクスなどの情報解析のスキルは今や欠かせない時代になっている。その際に重要なのが、生命科学の持っている問題を情報学的にどう解くか、実験をデザインする力であり、問題を見つけ出す力だと山田先生は力説する。
「私は、バイオインフォマティクスを使って、人類の知的資源を広げていきたいのです」

そんな山田先生がいつかは取り組んでみたいと考えているのが、脳と腸内環境の関係の探求だ。

「脳と腸内細菌との関係についてはいろんな説があって、腸と脳とは迷走神経がつながっているので、腸管の刺激が脳に伝わっていくという説があるし、脳にある血管脳関門(BBB)を通過できる物質を腸でつくっているとか、あるいはBBBの関門をゆるくしているとか、いろいろな説があります。もともと意識とか自我と身体の連動性については子どものころから関心を持ってきたテーマですから、いつか自分のフィールドにつなげたいですね」

最後に高校生へのメッセージをうかがうと――。

「高校生のときはわからないことがあると、理解できるまでとことん聞いていたので、しつこいとか、屁理屈を言う奴だと思われていたんですが、大学院に進んで初めて、同じように、自分がわかるまで話し続ける人がいて、それが実に心地よくて、いい世界に入ったな、と思ったんです。だから、個性をつぶす必要はなくて、やりたいことを貫いてほしい。

また今後、受験とか就職活動とか、自分の将来について悩む場面がいろいろあると思います。例えば、Aを選ぶかBにするかを決めなくてはならない。そんなとき、判断基準や行動原理となるような自分の軸を見つけることが大切です」

情報解析のスキルだけでなく、生命科学の持っている問題をどう解くか、実験をデザインする力や、問題を見つけ出す力が大切なんだって!

(2018年2月19日取材)