公益財団法人テルモ生命科学振興財団

財団サイトへもどる

中高生と“いのちの不思議”を考える─生命科学DOKIDOKI研究室

サイト内検索

“ベニクラゲ愛”が嵩じて歌を作って広める活動も

クラゲ研究のどこがおもしろいのか?と久保田先生に尋ねると──。
「クラゲには早死にと不老不死がいる。これだけでもすごいと思いますが、研究の材料としても、とてもシンプルで最高ですね。クラゲはクローン生物なのでコピーがいくらでも作れる。ポリプがいっぱい増えれば切り取って隣の水槽で植え付けができて、植物のようにどんどん増やしていけるといいことづくめ。その上、再生するのですからこんな最高の実験材料はありません」

研究に没頭しつつ、ベニクラゲを愛してやまない久保田先生はベニクラゲの歌まで作り、CDやDVDにしたり、自ら歌って広めている。

ベニクラゲに扮して、ベニクラゲや海の生き物をはじめ、生命の多様性を伝える活動を展開している久保田信先生

「ベニクラゲ音頭」をみんなも聴いてみてね!

2018年7月16日の「海の日」には、私費を投じてベニクラゲ再生生物学体験研究所を開設した。先生はこの研究所をどのように活用しようと考えているのだろう?

「小学生から大人まで、145万種40門からなる地球上の生き物の多様性を知ってほしい。ここには、北大時代も入れると約40年をかけて集めた標本もたくさんあります。形のおもしろさ、それぞれの生き物のユニークな性質などを知ってもらい、そのうえで、最もウルトラ動物であるベニクラゲを観察してもらうのがこの施設です。備え付けの顕微鏡でのぞいてもいいし、観察するだけでなく絵に描いてもいい。長期滞在できる人を対象にした再生・若返りの実験コースもあります。
特に大歓迎なのは子どもたち。ここで観察するだけではなく、できれば一緒に海に行ってプランクトンを集めてみたい。海ではウジャウジャおもしろい生き物がスープのようにあると教えたいですね。体験研究所とあるとおり、研究ばかりしているのではなく、実物を自分の手で触ってみる体験を大事にしています」

研究所には、カラフルな貝やウニ、ヒトデをはじめ、40年間に集めた海の生き物の標本がいっぱい

久保田先生は今日も、生き物のすばらしさを一人でも多くの人に実感してほしいと、精力的に活動を続けている。

(2019年1月7日更新)