

森下泰記念賞について
医療機器・再生医療・ドラッグデリバリーシステム・医用システムなど、医学と工学の連携・融合領域から生みだされる医療技術の発展は目覚ましく、健康長寿の実現に向け、大きな貢献を果たしています。テルモ生命科学振興財団 森下泰記念賞は、これら医工連携・融合領域において顕著な業績を上げ、その将来が期待できる方を顕彰することで、その業績を称え、研究の一層の進展を祈念するとともに、この分野へのより多くの優秀な人材の参入契機となることを期待して設けるものです。
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本賞の名称は、当財団の出捐会社であるテルモ株式会社の前身となる、仁丹体温計株式会社および株式会社仁丹テルモにおいて、社長・会長を務められた、森下 泰(もりした たい)氏に由来しています。 “わが国の医療技術が、広く世界の医療の場に貢献し、健康な生活を通じ人類の平和に寄与していくこと” を課題として設立趣意に謳う当財団の趣旨に賛同された氏より、1987 年に遺贈いただいた同社の株式が、現在の当財団の主な基本財産となっています。
募集要項
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表彰の対象 | 日本国内の研究機関(企業を除く)に所属する研究者で、医工連携・融合領域において顕著な業績を上げ、今後の活躍が期待される者 |
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褒賞内容・件数 | 正賞および副賞:1,000万円・1件 |
募集方法 | 一般公募および当財団が指定する学会からの推薦により募集 |
申請方法 | 「森下泰記念賞Webシステム」より申請 |
募集期間 | 2022年6月1日~2022年8月31日 |
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受賞者決定
氏名 | 西田 幸二(にしだ こうじ) |
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所属 | 大阪大学大学院 医学系研究科 脳神経感覚器外科学講座(眼科学) 教授 |
業績 | 「新規眼科領域再生医療の開発と産業応用」 |
選定理由 |
西田幸二氏は、角膜に関する基礎研究と臨床経験、幹細胞に関する研究実績を背景に、細胞シート工学との医工連携研究に取り組み、独自の角膜上皮細胞シートの作製に成功、これを患者に移植することで、角膜再生医療の臨床応用を実現されました。角膜移植の課題である、難治性疾患への適応困難、拒絶反応、ドナー不足を解決する画期的な治療法といえます。この成果を、再生医療等製品に関するレギュレーションの整備も十分でない社会環境の下、ヒト(自己)角膜輪部由来角膜上皮細胞シート(2020年)、ヒト(自己)口腔粘膜由来上皮細胞シート(2021年)として、薬事承認取得・保険収載へと繋げ、社会実装を実現した功績は高く評価できます。 また、iPS細胞を用いた研究からは、発生学上の観点からも意義が深い、眼全体の発生を時空間的に再現させる世界初の眼オルガノイド系の開発に成功しました。さらに、この眼オルガノイドを利用した角膜上皮組織(角膜上皮細胞シート)の作製・臨床応用に成功、治験に向けた取り組みを進めるとともに、角膜移植の対象疾患で最も多い水疱性角膜症に対する角膜内皮細胞移植の実用化も目指しており、臨床上の期待は高いものがあります。 これらの実績及び将来性を勘案し、“医工連携・融合領域において顕著な業績を上げ、その将来が期待できる方を顕彰する” との森下泰記念賞の趣旨に相応しい者として、選定いたしました。 |