公益財団法人テルモ生命科学振興財団

中高生と“いのちの不思議”を考える─生命科学DOKIDOKI研究室

感情は一つの神経伝達物質だけでは決まらない

こうしてお話をうかがうと、神経伝達物質って、私たちの気分や感情、学習能力にすごく影響していることが分かります。

脳の中で働く物質の中でも神経伝達物質についての研究は最も進んでいて、私たちの精神的な活動に影響を与えていることはたしかですね。けれども、私たちの感情は、ある一つの神経伝達物質だけの作用で決まるわけではありません
例えば、セロトニンの濃度が高くなりすぎると、動物は攻撃的になるとされていますが、モノアミンオキシダーゼをノックアウトしたマウスを調べてみると、注目すべき現象が見られたのです。

いったいどんな現象が現れたんですか?

モノアミンオキシダーゼは、前にお話ししたようにセロトニンの活動を抑制する酵素ですが、これをノックアウトしたマウスでは、セロトニンだけでなくドーパミン、ノルアドレナリンなど、モノアミン系と呼ばれるアミノ酸由来の神経伝達物質全般の濃度が高くなっていたのです。これらの神経伝達物質に関係する遺伝子全体に変化が起きたわけですね。
つまり、私たちの感情は、セロトニンだけで決まるわけではなく、さまざまな神経伝達物質やそのほかホルモンなど、いろいろな物質が複雑に関与しながら決まっていくと考えることができます。

なるほど、GABAがたとえ血液脳関門を通ることができたとしても、GABA入りチョコレートを食べただけでは、ストレスが軽減されることはないのかも。

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