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中高生と“いのちの不思議”を考える─生命科学DOKIDOKI研究室

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第13回

神経伝達物質の謎

私たちの脳の中では、数百億~千数百億個にものぼるニューロン同士が情報のやり取りをしている。情報のやり取りにあたって重要な役割を果たしているのが、ドーパミン、セロトニン、グルタミン酸などの神経伝達物質だ。これらは記憶、感情、意識などさまざまな活動に関わるとともに、うつ病、パーキンソン病をはじめとする脳の病気にも深い関係を持っているとされる。いったい神経伝達物質とはどんなもので、どんな作用を及ぼしているのか、その謎を追いかけてみよう。

お話をうかがった先生

同志社大学 生命医科学部医生命システム学科 特別客員教授

石浦 章一先生

(いしうら・しょういち)1974年東京大学教養学部基礎科学科卒業、79年同大学院理学系研究科相関理化学博士課程修了。国立精神・神経センター室長、東京大学分子細胞生物学研究所助教授を経て、98年より東京大学総合文化研究科教授。2016年定年退任、名誉教授。16年より現職。『脳内物質が心をつくる 心と知能を左右する遺伝子』『遺伝子が明かす脳と心のからくり 東京大学超人気講義録』『老いを遅らせる薬』をはじめ、脳や遺伝子、タンパク質に関する一般向けの著書多数。専門は神経科学。

ストレス軽減にGABA入りチョコレートは効くか?

あーあ、なんだか最近、ストレスが溜まっているみたい。

そうだよねえ、リカ子さんは塾に通って、勉強もクラスでトップの成績だし、音楽部で部長をしていて、さらに生徒会長までやっているんだから、いくら好きでやってると言っても、そりゃストレスも溜まるよね。

ケンタ君はどう見てもストレスが溜まるタイプじゃなさそうだニャン。

それでね、音楽部の友達が「ストレスを減らすには、GABA入りチョコレートがいい!」と教えてくれたので、今から買いに行こうと思ってるの。

あっ、ぼくもGABA入りチョコがストレスに効果があるって話、聞いたことがある! でもリカ子さん、そもそもGABAってどんなものなの?

えっ、うーん、いきなり聞かれても答えられないわ・・・。

おお、今話題のGABA入りチョコレートの話をしておるな。で、そのGABAがどんなものか分からないというわけじゃね。GABAというのは、正式名称を「γ(ガンマ)- アミノ酪酸」といって、英語のGamma-Amino Butyric Acidの頭文字を取ってGABAと呼ぶんじゃ。脳のニューロン(神経細胞)とニューロンの情報の伝達を行っている「神経伝達物質」の一種なんじゃよ。

神経伝達物質って、名前だけは聞いたことがあるけれど、いったいどんなものなのか、もっと詳しいことを知りたいな。

それなら、同志社大学の石浦章一先生に、詳しいお話をうかがうとよいじゃろう。先生は脳や心と神経伝達物質について、中学・高校生にも分かりやすく教えてくださるはずじゃ。