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中高生と“いのちの不思議”を考える─生命科学DOKIDOKI研究室

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薬学、心理学を高校の教科書に取り入れたい

これまでお話ししてきた中で気づいてもらえたかもしれませんが、こうした神経伝達物質の作用が明らかになったのは、ドーパミンはパーキンソン病、セロトニンはうつ病の研究からというように、病気と薬学の研究に負うところが多いんです。
それなのに、いま高校生の教科書に「薬学」の科目がありません。これまで、理科というと、物理、化学、生物、地学だけが学ばれていて、薬学が入る余地がなかった。でも、例えばアスピリンがどのように身体に吸収されるのか、ほかの解熱剤とどう違うのかなど日常的な薬の知識を身につけておくことは非常に大切です。

うーん、そう言われると、ぼく、薬に関しての知識がまったくないなあ。

そうね、私もこれまで薬について勉強したことがないから、分からないことだらけだわ。

高校生でもアルツハイマー病やADHD(注意欠陥多動性障害)などに興味を持つ人は多いんです。そうした病気と薬学を結び付けた学習をすることができれば、より幅広い視点から考えることができるようになると思います。
それと、心理学の科目もありません。心理学といっても精神分析学などではなく、脳科学や分子生物学などとの関係で、人間の心理や性格などを明らかにする心理学です。こうした薬学や科学的な心理学をベースにして、私たちの心の問題や性格などについて研究すれば、これらの問題に新たな発見がもたらされるのではないかと思っています。

神経伝達物質と気分や学習意欲についてなど、解明すべき興味深いことがまだまだたくさんあるんですね! よぉし、もっと勉強しなくちゃ。

(2017年6月8日公開)