公益財団法人テルモ生命科学振興財団

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中高生と“いのちの不思議”を考える─生命科学DOKIDOKI研究室

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中高校生が第一線の研究者を訪問
「これから研究の話をしよう」

第5回
生物の機能を活用した、
新しい原理で動く機械の開発

第5章 いつだって人生、分岐点

田中
ちなみに、皆さんは今、高校3年生ですよね?皆さん大学進学を希望していると思うんですが、その後研究は続けていきたいと考えていますか?
一同
思っています!
田中
どんな研究をしたいかなどは決まっているんですか?
吉岡
私はヒトデの研究を始める以前から、再生医療に興味を持っていたので、その関連で研究を進めていければいいなと思ってます。

「再生医療の研究に興味があります」

都藤
まだ決めてはいないんですけど、生物を勉強しているので、それに関わることができたらいいなと思っています。
太畑
私もはっきりとは決まってないんですけど、生物関連の実験ができたらいいなと思ってます。
田中
皆さん、生物っていうのが出てきましたけど、生物のどういう点が面白いって感じているんですか?
吉岡
人間の体の働きに関しては、まだ分かっていないことが多く、それらを知ることができたら面白いなと思うんです。だから、人間の細胞もどのようにしたら、もっと上手くくっついて戻って、きれいに治るのかについて、もっと詳しく調べていきたいなと思っています。
田中
なるほどね。
都藤
私は小さい細胞から人間や他の動物など複雑なものができていくことが、すごく面白いなと思っています。そこが惹かれるところではあるんですけど、将来的に何をしたいかって言われると、まだ明確にはなってないんです。

「小さい細胞から動物など複雑なものができていくことが面白い」

田中
まあ、そうですよね。高校3年生でそんな研究分野の潮流っていうか、その辺を理解することは難しいですよね。
太畑
私は小さい頃から手荒れがひどくて、その時薬を塗ったら治る経験を通じて、免疫や自分の体がどのようにして回復するのかについて、小学校の頃から興味を持っていました。

「小さい頃から、免疫や体がどのように回復するかに興味がありました」

田中
たしかに不思議なんですよね、生物って。だから、そこに興味を持つっていうのは、すごくよく分かります!僕から少し言いたいことは、生物の研究を行うにしても、実はそのベースになっている知識って、物理、化学、数学だったりすることが多いということです。だから、それらの勉強もやっていたほうが絶対いいと思います。生物の研究をやりたいから、生物の勉強ばっかりしてしまうのではなく、視野を広く持って勉強してください。
吉岡
自分の夢を目指して突き進むのか、現在の学力に合わせて進路を選択すべきなのか、ちょうど進路で悩んでいます。
田中
悩ましい時期ですよね。でもね、それはずっと続いていきますから、重く捉えすぎない方がよいかもしれません。いつだって人生、分岐点です。研究者としてもそうですし、研究室選びのとき、学校選びのときも、それぞれに選択肢が出てきます。そのとき、人に流されず、やっぱり自分の思った方向に進んでいくことが大事かなって個人的には思いますよ。
一同
ありがとうございました。

対談後には、研究室を案内してもらい、田中先生か実際に研究に使う微細加工用のクリーンルームの中にお邪魔させていただきました。

顕微鏡でマイクロ流路上を流れる様子を観察

実験スペースの一部は、加工の邪魔になる青い光(紫外線)をフィルタリングすることで、イエロールームとなっている。

研究室訪問を終えて

実際に大学で研究をされている方とお話しするのは初めての機会で、普段の生活からは知ることのなかったことに、より興味や関心を持ちました。また、自分の研究についてもより深く考えることができとても有意義な時間を過ごすことができました。
吉岡 初花さん

第一線で活躍する研究者の方と対談という貴重な経験をさせていただきありがとうございました。緊張のあまり、うまく話すことができませんでしたが、お互いの研究内容や自分たちの将来等をお話することができてよかったです。研究室に入る前に防塵服を着用してエアシャワーに入ったのは人生初めてで楽しかったです。また、さまざまな器具を拝見することができてうれしかったです。ありがとうございました。
太畑 花菜さん

道具を作っている場所を見せていただいたり、お話を聞かせていただいて、私たちが普段何気なく使っていた道具も、田中先生のような方々が開発し、研究を支えてくださっていることを改めて認識でき、貴重な時間になりました。
都藤 晴香さん

生徒は研究者や大学の研究室を実際に見たことがないので、高校で課題研究をしていてもそのような活動が将来につながるのか想像しにくい現状があると思います。しかし、今回のような対談をすることで生徒も研究を仕事にすることを具体的な夢として描けるようになるのではと期待しています。
顧問:澤井梓先生

( 取材・構成 株式会社リバネス 中島 翔太 )

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