公益財団法人テルモ生命科学振興財団

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中高生と“いのちの不思議”を考える─生命科学DOKIDOKI研究室

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中高校生が第一線の研究者を訪問
「これから研究の話をしよう」

第22回
病と形から生物の本質に迫る
海の哺乳類と向き合う熱き研究者

第2章 進路や生き方を人生の先輩から学ぶ

田島
私は高校受験では勉強不足で、希望する高校に進学できませんでした。そのため、大学受験は自分の希望する進路に確実に進みたかったし、悩むことも多かったです。しかし、一度きりの人生、ここで妥協したら、その先が決まってしまう。悩んだ末、浪人してでも希望大学に進学したかったので、一浪して獣医大学に入りました。目指す目標が明確な場合、「急がば回れ」ということわざにもあるように、慌てず着実に進める方が結果的にうまくいくこともありますね。
井上
将来、バイオテクノロジーの分野に進みたいと思っていますが、バイオテクノロジーの中にも医療や食品などいろいろな道があり、どれも面白そうで迷っています。
田島
それはやはり「好きこそものの上手なれ」。だから、最終的には自分がやっていきたいと思う道がいいし、夢はたくさん描いた方がいいと思います。でも、そのうち、その夢のためにはどの現実が望ましいのかを選択する時が来ます。それが自分の好きなことにより一層近づく結果になるのなら、それはもう頑張るしかない。それが人生というものですかね。
バイオテクノロジーという目標があるなら、まずそれができる大学を選び、研究者を目指すのなら修士・博士まで行き、そこから就職に変更しても遅くはないように思います。ただ、学歴社会であることは否めないので、最初の目標は高ければ高いほどいいと感じます。
あとは、資格の取れる職種も大事だったりします。女性の場合、出産・子育てを経験すると、どうしてもその間は両立しないといけないことが増えます。そんな時、資格のある職種であれば、その両立も比較的容易にできる場合がありますね。うちの母親は教育熱心で、私は獣医師、妹は建築士という資格を取得させてもらい、今では妹ともども母親にはとても感謝しています。そのあたりは何か考えがありますか?
井上
大学進学のことで頭がいっぱいで、資格についてはあまり考えたことはなかったです。
田島
今は私たちの時代よりも転職や再就職が認められ、産休や育休も取りやすくなりましたよね。なので、ある社会の中で必要とされる人材になることも大切です。ロールプレーイングゲームでも、必須の武器を準備したり、魔法使いに手伝ってもらって冒険を進めていくじゃないですか。今のうちから自分の必殺技やオリジナルの武器をたくさん準備すること、そして「私はこれだけいろいろなことができる」と言える人材になるのも、すごく大事な気がしますね。
ところで、皆さんは国際科ということですが、何か国際的なことに取り組まれているのですか?
井上
英語に力を入れています。
田島
TOEICとかTOEFLとか?
井上
それはやりません。普通科とは違う授業があったり、修学旅行もマレーシアに行きます。
田島
そこで何をするのですか?
井上
現地の大学で、私たちが学校で行っている探究活動(下部コラム参照)について英語で発表します。
田島
向こうの人も発表するの?
井上
いいえ。私たちの発表にアドバイスをもらいます。
田島
実際に海外に行くことも大事ですよね。私もアメリカに1年ほどいましたが、留学先の教授や研究者とは研究だけでなく、プライベートでも仲良くしてもらい、とても新鮮でした。「木綿子が来たから、寿司を食べに行こう!」「ジャパニーズ寿司とは、どう違うんだ?」とかね。マレーシアに行った時でもいいし、今後自分たちで行く時でもいいから、その経験をぜひ大切にしてほしいですね。
2人
はい。
田島
じゃあ、標本を見に行きましょうか。

探究活動の様子から

井上春胡さん

米粉パンの普及のため、生地が最も発酵し膨らむ条件をタンパク質分解酵素を用いて研究しています。「身近な食材で安全安心においしく食べることができる米粉パン」のレシピを作ることを最終的な目標とし、日々探究に励んでいます。

林美緒さん

地域に根付いた伝承などからその地域の特色を見出す「民俗学」という学問があります。私は怪談や怖い話に興味があるので、異なる地域の怪談を比較することで人々の畏怖の対象の違いを見つけたいと考えています。現時点では、日本とヨーロッパを比較する予定です。

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