中高校生が第一線の研究者を訪問
「これから研究の話をしよう」

第22回
病と形から生物の本質に迫る
海の哺乳類と向き合う熱き研究者
国立科学博物館動物研究部
脊椎動物研究グループ 研究主幹
筑波大学生命環境科学研究科
連携大学院 准教授
日本獣医生命科学大学 客員教授
田島木綿子先生


茨城県立
竹園高等学校
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井上 春胡
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林 美緒
クジラやイルカなどの海の哺乳類が浅瀬に座礁したり、海岸に打ち上げられる現象をストランディングと呼びます。これは決して珍しいことではなく、国内では年間300件ほどの報告が……。ということは、毎日どこかの海岸にストランディング個体がいることになります。そうした海の哺乳類の死体を調査解剖するとともに、標本として博物館活動に役立てている田島木綿子先生。待ったなしのストランディングの現場に駆けつけて20年、これまでに解剖した個体数はのべ2,000頭以上。国立科学博物館動物研究部で唯一の女性研究者として活躍する田島先生にお話を伺いました。訪問したのは茨城県立竹園高等学校2年生の皆さんです。
(取材日:2024年8月7日)
INDEX
*本記事で使用している図版類は一部を除き、独立行政法人国立科学博物館ならびに田島先生に提供していただきました。
PROFILE

国立科学博物館動物研究部脊椎動物研究グループ 研究主幹
筑波大学生命環境科学研究科連携大学院 准教授
日本獣医生命科学大学 客員教授
田島 木綿子(たじまゆうこ)
1971年生まれ。日本獣医生命科学大学(旧・日本獣医畜産大学)獣医学科卒業。東京大学大学院農学生命科学研究科にて博士号(獣医学)取得後、同研究科の特定研究員を経て、2005年からアメリカのMarine Mammal Comissionの招聘研究員としてテキサス大学医学部とThe Marine Mammal Centerに在籍。国立科学博物館動物研究部支援研究員を経て、15年より現職。海の哺乳類のストランディング個体の解剖調査や博物館の標本化作業で日本中を飛び回っている。獣医学の知見を生かし、海と陸の哺乳類の繁殖戦略にも詳しい。

研究室訪問に際し、参加者の皆さんには先生の著書『海獣学者、クジラを解剖する。~海の哺乳類の死体が教えてくれること』『クジラの歌を聴け 動物が生命をつなぐ驚異のしくみ』(両著とも山と渓谷社刊)を事前に読んでいただきました。