中高校生が第一線の研究者を訪問
「これから研究の話をしよう」
第23回
小さいけれど広い世界。
原生生物の動きを探る
序章
自己紹介
- 西上
- では皆さん、最初に簡単に自己紹介をお願いします。
- 岡山
- 札幌日本大学中学校1年の岡山ひかり(おかやま・ひかり)です。プログラミングに興味があり、好きな教科は、まあ数学以外だったら……。
- 全員
- (笑)
- 岡山
- それで、将来は介護系に行きたいと思っています。
- 神野
- 神野由徠(かみの・ゆら)です。好きな教科は理科で、今、興味があるのは線虫。将来は生物系の仕事ができればと思っています。
- 佐々木
- 佐々木健翔(ささき・けんと)です。興味があるのは昆虫と冬虫夏草で、将来はその系統の仕事がしたいです。
- 泉
- 札幌日本大学高等学校1年の泉一生(いずみ・いっせい)です。学科や進路はまだ決まっていないのですが、工学に興味があり、手を使って物を作ることをやってみたいなと思っています。今、文房具にハマっていて、たくさん集めています。
- 大山
- 大山莉璃羽(おおやま・りりは)と申します。今、興味があるのは森林保全。将来、起業することを目指し、森林を使った地球温暖化防止や林業のサイクルなど、いろいろ調べたいなと思っています。よろしくお願いします。
- 正村
- 正村悠結(しょうむら・ゆうゆ)です。理科全般が好きで、今、興味があるのは橋などを造る社会のインフラ整備。将来はそういったところで働けたら楽しいだろうなと思っています。
- 淀野
- 淀野佑也(よどの・ゆうや)です。好きな教科は化学、特に高分子や高分子機能学などです。将来的には化学が使える職業に就けたらいいなと思っています。
- 西上
- ありがとうございます。皆さん、いろいろな夢があっていいですね。今日は原生生物の話をしますが、直接的ではないにせよ、皆さんの夢に何かしら関係するかもしれません。それから、皆さん、この本『アメーバのはなし』を読みましたか?
- 生徒
- 数人うなづく。
- 西上
- 先ほど中学生の皆さんに聞いたら「数ページだけ目を通した」と言っていましたが、分かりやすくお話しするので、大丈夫です。最初に、このセミナー室で「原生生物」の話をします。また、原生生物のサンプルをいくつか持ってきたので、皆さんに顕微鏡を手作りしてもらい、それで観察します。その後、研究室を案内といったスケジュールです。時間が許す限り、いろいろとお話ができればと思います。では、私も自己紹介をします。ここ電子科学研究所の准教授で、学科としては理学部生物科学科(高分子機能学)に所属しています。先ほど高分子機能学に興味があると話した方がいましたが、まさにそれですね。
大阪出身で、大学から博士号取得までは兵庫県立大学、その後に京都大学で博士研究員をして、今は北海道大学の数理生物学の研究室に所属しています。数学は嫌いではなかったのですが、まさか自分が履修して数学の分野に進むとは思っていませんでした。高校時代はカリキュラム上、物理が取れなかったので、生物と化学を履修していました。そのまま大学に行き、大学院の修士課程、博士課程と進む中、「あれ? この問題は生物と化学的な手法だけでは解けないぞ」と思い、物理的な手法を取り入れ始めました。当時、私の周りにはそのような取り組みをしている人はいなかったので、京都大学の先生のところに行き、教えを乞いました。卒業後、その研究室でポスドク(博士研究員)になったのですが、物理学的な方法論だけではなく、数学的な手法も生物の研究に非常に有用であることが分かってきて、現在は数理生物学の研究室にいます。