シンプルな数式で世界をあらわす物理学に感動
———小さいころは、どんな子供でしたか?
生まれは愛知県名古屋市です。3歳で東京に移りましたが、父の仕事の関係で引っ越しが多く、小学1年生の1年間はアメリカのインディアナ州にいました。英語はできなかったのに、父の話では「帰国するころには友達と英語でけんかもしていた」そうです。とはいえ嫌な思い出はありません。
———お父さんのお仕事は?
応用数学の研究職でした。母も仕事をしていたので、保護者会は比較的時間が自由になる父がよく来てくれて、授業が終わると一緒に大学に行って、研究室でお菓子を食べながら仕事が終わるのを待っていました。いろんな人が議論しているのを見て、内容はわからないけれど楽しそうで、そのころから研究者になりたいと思っていました。
———勉強や趣味で熱中したものはありましたか。
好きなスポーツや趣味はとくになくて、高校のときは少しだけバンドでピアノを弾いていました。勉強で自分から興味をもったのは高校の物理です。それまでは数学も苦手だったのですが、飛行機が飛んだり観覧車が回ったりするのを、シンプルなF = maという数式で説明できる美しい世界にすごく感動しました。
———数学が得意じゃなかったのに、いきなり数式に目覚めた?
高校の物理だと微分積分も出てこない簡単な数式ばかりだから、数学が苦手でも理解できたんです。それから、エッフェル塔の上から鉄のボールと発泡スチロールのボールを落としたらどちらが先に着地するかといった現象を計算して、その結果が自分の直感を裏切ることにもすごく惹かれました。
———大学は慶應義塾の物理学科。進路はどうやって決めましたか?
進路を考えるにあたって、研究室や先生をリサーチするほど深くは考えていませんでしたね。とにかく、気になった大学の物理学科をすべて受けるみたいな感じでした。東大も受けたんですけどダメでした。
———高校時代にカナダに留学したそうですね。
カナダ留学は学校の希望者に向けたプログラムで、夏休みに1カ月間ホームステイしました。留学先も夏休みなので、カナダの高校生と博物館に行ったり、語学の簡単な授業を受けたりしたくらいです。ただ、私は子供時代にアメリカにいたせいか、自分は海外でもうまくやっていけるという根拠のない自信があったんです。とくに英語が得意だったわけでもないんですが。