中高生と“いのちの不思議”を考える─生命科学DOKIDOKI研究室

より深部を観るために。組織透明化技術に挑む

生物個体丸ごとを使う実験において、体全体が透明なゼブラフィッシュなどは深部観察が可能で最適だといえる。一方、ヒトを含め哺乳類動物の組織は不透明で、深部観察が困難となる。まだ固定したサンプルに限られるが、宮脇先生の研究チームは、哺乳類動物の組織を透明化して光学的に深く観る技術の開発に成功した。

「たとえば、普通の光学顕微鏡を使う場合、これまでは固定した哺乳類動物脳の表面から0.2~0.6mmくらいの深さのところまでしか見ることができませんでした。しかし、「スケル(Scale)」という組織透明化技術を開発することで、深さ数 mmまで高精細に観ることができるようになりました」

Scaleを使って透明化したマウスの胎仔

「Scale」は、保湿クリームや肥料に広く使われている尿素をベースに蛍光シグナルに影響を与えず固定組織を透明化する水溶性試薬。蛍光標識した神経細胞などを脳表面から数mmの深部に至るまで高精細で観察することに成功した。写真は、Scaleを使って透明化したマウスの胎仔(胎生15日)

図

脳表面から大脳皮質、白質、海馬CA1の上部までの神経回路を高精細に観察(左図)。第V層における高倍率画像。樹状突起の上の緻密な構造(棘突起)が見える(右図)。

マウスの海馬における神経幹細胞の核(緑色)と血管(赤色)

マウスの海馬における神経幹細胞の核(緑色)と血管(赤色)

PAGE TOPへ
ALUSES mail