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中高生と“いのちの不思議”を考える─生命科学DOKIDOKI研究室

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体内時計は地球上のほとんどすべての生物が持っている

例えば君たちなら、夜になると眠くなり、朝には自然に目が覚める。わしたちフクロウは逆に夜になると活動的になるんじゃが、地球上のほとんどすべての生物は、およそ1日24時間のリズムを刻む時計を備えているんじゃよ。これが体内時計で、「生物時計」とも、また24時間周期で変動するリズムを刻んでいるから「概日リズム」(サーカディアンリズム)とか「概日時計」などと呼ばれておる。

ほとんどすべての生物ということは、ヘビや昆虫もですか?

もちろんじゃ。哺乳類をはじめ鳥や魚などの動物や昆虫ばかりじゃないぞ。アサガオやオジギソウなどの植物から、菌類、それから光合成を行うシアノバクテリアにも体内時計が備わっておる。昼と夜の区別がつかない深い海に暮らす生き物や、夏の間はほとんどが白夜となる南極にすむ昆虫なども体内時計を持っておるそうじゃ。

なぜほとんどすべての生物が体内時計を持っているのかしら?

それは、地球の自転と関係のある話なのじゃ。地球は約24時間の周期で自転しておる。この結果、一部の地域を除き昼と夜が交互に訪れ、光の強弱や寒暖の変化をはじめさまざまな環境の変化が生じる。この変化のリズムを予測して、エネルギー効率を上下させたり、エサをとるなど生存戦略を進化させることが、地球上に生きるさまざまな生物の生存に有利に働いたのじゃろう。

ニャるほどー! それで、ケンタ君が朝寝坊するのは、その体内時計のリズムがちょっとおかしくなっているってことなのかニャ?

そうじゃな。ケンタ君に限らず、遅くまでテレビを見たり、スマホをいじったりして本来眠る時間になっても夜更かしばかりしていると、体内時計が乱れるなどの弊害が出てくるわけじゃ。

いったい体内時計って、ぼくたちの身体の中でどんな仕組みで動いているんですか。

そこなんじゃが、実は脳が私たちの体内時計をつかさどる重要な働きをしておるんじゃよ。

体内時計と脳の関係って、おもしろそう!

それならぜひ北海道大学大学院医学研究院の榎木亮介先生をお訪ねするとよいじゃろう。先生は「光イメージング」という手法で体内時計の中枢を可視化する研究に取り組んでおられる。体内時計の基本的なメカニズムや、体内時計と病気の関係など、興味深いお話が聞けるはずじゃ。