公益財団法人テルモ生命科学振興財団

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中高生と“いのちの不思議”を考える─生命科学DOKIDOKI研究室

体内時計を利用した「時間医療」に注目!

体内時計が睡眠や覚醒に影響するということはイメージしやすいのですが、ほかに私たちの身体にどのような影響を及ぼしているのでしょう?

体内時計は、血圧や体温、脈拍の変動、さらにはホルモン分泌や代謝、細胞分裂まで、さまざまな生体機能に密接に関係しています。それぞれの機能をつかさどる脳部位に投射している場合もあれば、間接的に制御するケースなどいろいろです。

朝早くより午後のほうがよく身体が動くような気がするけれど、これも体内時計が関係しているのかな。

例えば、血圧は基本的には朝目覚めると上昇をはじめ、午前中高くなり、夕方から夜にかけて低くなり、睡眠中はさらに低くなります。ホルモンの分泌を見ると、副腎皮質からは血糖値を一定に保つ役割を果たしているコルチゾールが分泌されるのですが、コルチゾールの1日の分泌量は一般的に朝起きたときが最も多く、昼、夜になるにつれ低下して、就寝時には最も低くなります。

生体機能の日周リズム(ピーク時)

体内時計は、それぞれの活動のタイミングを知らせるタイマーのような働きをしているというわけですね。

最近、体内時計と疾病の関係についての研究も進んできました。例えば、心臓の収縮力が最も強まって血圧が最も高くなり脈拍が最も速くなる早朝の時間帯には、急性心筋梗塞などの心臓疾患や脳出血、脳卒中などの危険性がいちばん高くなることが指摘されています。
また、鼻炎や気管支喘息、ジンマシンなどのアレルギー性疾患も、活動期の日中よりも休眠期の夜間から明け方に起きやすいのです。気管支喘息がその時間帯に起きやすいのは、呼吸機能がいちばん弱くなるからと考えられています。こうした体内時計と疾患の関係に着目した「時間医療」による治療が、いま注目を集めているんですよ。

時間医療って何ですか?

例えば、気管支喘息の発作は明け方に起きやすいため、飲み方などを工夫してその時間帯に薬に含まれる有効成分がピークになるようにすれば、より効果が上がるでしょう。このように、生体リズムを考えて薬を投与したり、病気のリズムの変動に応じた治療を行うのが時間医療です。ただし、病気が起きる時間帯には個人差があることが知られているので、時間医療もそうした個人差を考慮して行うことが必要だとされています。

1日のうち疾患の起きやすい時間

ケンタ君の夜更かしは一時的ですが、看護士さんや工場で交代勤務で働く人、長距離トラックのドライバーなど、夜の仕事が多く体内時計が乱れてしまう人もいると思います。なにかしらの影響が出てくるものなのでしょうか?

シフトワーカーは、通常勤務の人に比べて糖尿病などの生活習慣病にかかりやすいとか、前立腺がんや乳がんの発生リスクが高いという報告があります。体内時計の指令する時間と、実際に内臓で吸収したり代謝を行う時間帯が大幅にズレて、恒常性が保てなくなってしまうんですね。うつ病などの罹患率が高くなるという指摘もあるので、注意が必要です。

時間医療については、こちらを読んでね!

「いま注目の最先端研究・技術探検!」第16回
体内リズムに合わせて薬を投与する『時間治療』のいま