公益財団法人テルモ生命科学振興財団

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中高生と“いのちの不思議”を考える─生命科学DOKIDOKI研究室

体内時計のコントロールセンターが脳の視交叉上核にある

榎木先生、さっそくですが、体内時計ってぼくたちの身体のどこにあるんですか?

実は体内時計は、肺や胃、肝臓、皮膚をはじめ、私たちの身体のいたるところにあるんですよ。私たちの身体は約37兆個もの細胞でできていますが、生殖に関係する細胞や発生の初期を除いて、あらゆる細胞には体内時計があってリズムを刻んでいるんです。

身体のあちこちにある時計はバラバラにリズムを刻んでいるんですか?

いいえ、これらの身体中の体内時計の指揮をとる中枢の役割を果たしているところが脳にあるんですよ。

いったい脳のどこにあるニャン?

脳の視床下部のいちばん深い脳底にある「視交叉上核(しこうさじょうかく)」です。ちょうど両目の網膜から大脳へと伸びる視神経が交わる場所のちょっと上に、マウスでは約2万個、ヒトでは約4万5000個の神経細胞が集まって神経核を形成しているんです。

大きさはどれくらいなんですか。

ヒトで約1mm四方、マウスでは数百ミクロン四方といったところでしょうか。ここにある神経細胞のネットワークが、ちょうどオーケストラの指揮者のようにタクトをふるい全身のリズムを束ねているというわけです。

視交叉上核が体内時計の中枢的な役割を果たしているということは、どんな研究から分かったのですか。

興味深い実験があります。視交叉上核を丸ごとくりぬいて切除したり、他の動物の視交叉上核と取り換えたりするのです。ここでクイズを出しましょう。みなさんは、マウスの視交叉上核を取り出して他の動物の視交叉上核を移植するとどうなると思いますか?

1.
マウスの体内時計のリズムを保ち続ける
2.
移植した動物の体内時計のリズムに変わってしまう
3.
体内時計そのものが壊れてしまう

正解だと思う番号をクリックしてね!!

正解は2。マウスの視交叉上核を切除すると、それまで保っていた24時間のリズムが消失し、寝たり起きたりを繰り返すようになります。しかし、ほかの動物から取り出した視交叉上核を移植すると、今度は移植した動物の体内時計のリズムを刻み出すのです。

視交叉上核を切除すると、例えば皮膚や肝臓にある体内時計は、リズムを刻まなくなってしまうのですか。

視交叉上核がなくともリズムは刻むのですが、同調しなくなってしまうんですよ。