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中高生と“いのちの不思議”を考える─生命科学DOKIDOKI研究室

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第15回

脳の新たな主役?
グリア細胞ってなんだ!

脳の働きをつかさどっている細胞で最も知られているのは神経細胞(ニューロン)だが、近年になって「グリア細胞」という脳細胞に注目が集まっている。かつては脳の構造を支えるだけの単なる脇役的な存在だと考えられていたが、研究が進むにつれて、脳内の情報伝達や恒常性の維持など、重要な役割を持っていることが明らかになってきた。いったいグリア細胞とはどんな細胞でどのような機能を担っているのか、最新の情報を追ってみよう。

お話をうかがった先生

自然科学研究機構 生理学研究所教授

池中 一裕先生

(いけなか・かずひろ)
大阪大学理学部化学科卒。同大学院理学研究科修了。理学博士。1977年より大阪大学蛋白質研究所助手。1983~85年、State University of New York at Stony Brookに留学。帰国後、神経発生の研究を開始。1991年蛋白質研究所助教授。1992年11月より生理学研究所教授。専門は分子神経生物学。1998~2001年度 特定領域研究「グリア細胞による神経伝達調節機構の解明」総括代表、2013~2017年度新学術領域研究「グリアアセンブリによる脳機能発現の制御と病態」領域代表。1988年創刊「GLIA」誌の編集委員会メンバー。

脳の中はニューロンだけしかないの?

ねえ、リカ子さん、ぼくたちの脳の中は、ニューロンが張り巡らされていて、ニューロン同士が連絡を取りあって情報を伝えているんだったよね。

そうそう、これまで何度も勉強してきたから、ケンタ君もちゃんと覚えているのね

まあ、たまには、そういうこともなければ、生きている甲斐がないのだニャン。

でも、脳の中にはとてつもない数のニューロンがあるでしょ。からまったりしないのかな? ぼくなんかゲーム機のコードだけでもグシャグシャになってしまうのに・・・。ニューロンがこんがらがったりしないように、なにかうまい仕掛けがあるのかなぁ??

うーん、そう言われてみると、私たちの脳の中ってどうなっているのかしら?ニューロンを保護するなんらかの物質があるとか・・??

リカ子さんが分からないなら、フクロウ博士に聞くしかないニャン。

なになに、キミたちの脳の中にはニューロン以外のものもあるんじゃないかって? いや、ケンタ君の疑問は脳を考える上で非常に重要な問題なのじゃよ。

えっ、「ヒョウタンから駒」ってこういうときに言うのかニャ。

というのも、脳の中には神経細胞のほかにも別の種類の細胞があり、その細胞がニューロンとニューロンの間を埋めておるのじゃ。この細胞が脳の働きを考える上でとても重要であることが最近の研究で分かってきたのじゃよ。

その細胞はなんていう細胞で、どんな働きをしているのですか?

そうした詳しいことを知りたかったら、その細胞の研究の第一人者である生理学研究所の池中一裕教授をお訪ねしてみるとよいじゃろう。